- 2019年に市販予定のアウディ第2の電気自動車を予告するモデル
- 4ドアSUVクーペを具現したユニークなスタイリング
- 3つのモーターによりquattroドライブを実現
- タッチパネルを大胆に導入した新しいコクピットと操作方式
- Audi A8よりもさらに高度な自動運転システムを搭載
アウディは、2017年5月に開催された上海自動車ショーで、デザインスタディでありテクノロジーデモンストレーターでもあるAudi e-tron Sportbackを初公開しました。これは、2019年に発売を予定しているアウディにとって2番目の生産型電気自動車の先駆けとなるモデルです。今回東京モーターショーに出品するAudi Elaine concept(アウディ エレーヌ コンセプト)は、そのモデルをベースに、Audi AIハイウェイパイロットなど次世代の自動運転テクノロジーを搭載したモデルで、ボディライン、3つのモーターを用いたフルエレクトリックのquattroドライブ、先進的なライティングテクノロジーなどは、Audi e-tron Sportbackと共通しています。
エクステリアは、ハイテク感のある5スポークデザインを備えた大径23インチホイールにより、SUVクーペとしての力強い存在感が演出されています。全長4.90m、全幅1.98m、全高1.53m、ホイールベース2.93mのボディサイズは、Audi A7のそれに近く、市場ではCセグメントに属することになります。インテリアは明るくすっきりしたデザインとなっており、機能的なレイアウトのなかで操作ボタンや、つまみの数は大胆に減らされています。ドライバーと乗員は、中央のディスプレイの下、センターコンソールの上、そして前後のドアトリムにも設けられたタッチスクリーンを介し情報にアクセスしたり、各システムを操作したりできます。4座の独立シートを備えた室内は、水平基調のダッシュボードのデザインと宙に浮いているように見えるセンターコンソールによって、広々とした印象が強調されています。
Audi Elaine conceptのライティングテクノロジーには、昼夜を問わず最適な視認性を実現するための最新技術が投入されています。ボディの前後に設置されたデジタル制御式マトリクスLEDユニットにより、多彩な光の演出が行われます。細分化されたデジタルマトリクスプロジェクターは、前方の道路に向けて文字通りマークを表示することで、歩行者等とのダイナミックなコミュニケーションを取ることが可能となります。これにより歩行者は、例えば自動運転モードで走行しているときなど、その状況を知ることができます。また、アニメーション機能を備えたLEDのフィールドを使って、乗り降りするときなどに、ドライバーや乗員に向けてサインを発したりします。
Audi Elaine conceptに搭載されている駆動システムは、将来アウディが生産型電気自動車に採用を予定しているものと同じ構成になっています。すなわち、フロントアクスルに1つ、リヤアクスルに2つのモーターを設置して4輪全てを駆動することでこの高性能クーペを、アウディの伝統に連なるquattroモデルの1台に仕上げています。3つのモーター合わせて320kW(ブーストモードでは370kWを発揮)のパワーにより、目覚ましい運動性能が得られています。0-100km/h加速に要する時間はわずか4.5秒に過ぎません。バッテリーのエネルギー容量は95kWhで、500kmを超える航続走行を可能にしています。バッテリーの充電には2つの方法があり、150kWのパワーでの高速充電が可能なほか、アウディワイヤレスチャージング(AWC)システムを利用しワイヤレス(非接触)で充電することもできます。
Audi AIにより高度な自動運転を実現
Audi Elaine conceptには、世界で初めてレベル3の自動運転を実現した新型Audi A8よりも、さらに進化した自動運転及びアシスタンスシステムの機能が搭載されています。要となっているのは、進化したセントラルドライバーアシスタンスコントロールユニットのzFASで、車体のリヤの部分に搭載された新世代のこのプロセッサーは、既存のものから大幅に強化された演算能力を備え、センサーもより射程を伸ばした高精度のものに替わっています。その結果Audi Elaine conceptは、ハイウェイ走行をほぼカバーする高度な自動運転機能を実現し、ドライバーを長距離ドライブの疲労から解放してくれることになりました。この「Audi AIハイウェイパイロット」は、新型Audi A8に搭載されるAudi AIトラフィックジャムパイロットの機能を拡張したシステムで、自動運転で対応できる走行速度の上限を、Audi AIトラフィックジャムパイロットの60km/hから130km/hまで拡大しています。これはほとんどの国において、高速道路の制限速度をカバーする値です。Audi AIハイウェイパイロットの機能が有効になっているときには、Audi Elaine conceptは車線変更も自発的に行うようになります。前の車両を追い抜いた後、元の車線に戻る操作も自動で行います。すべて自律的に判断し、ドライバーのサポートを受けずそうした操作を開始、完了してくれるのです。ドライバーが介入したいときには、いつでも自動モードを解除することができます。
Audi Elaine conceptは、高速道路もしくは自動車専用道路を離れた後もドライバーをサポートし続けます。というのもAudi Elaine conceptには、セーフティシステムのプレセンスなど、最新のアウディモデルでお馴染みのドライバーアシスタンスシステムがもれなく搭載されているからです。予測効率アシスタントに関しては、HEREのナビゲーションデータを活用することで、さらに正確なルート案内が可能になっています。
力感漲るエクステリア
Audi Elaine conceptのフロントエンドには、2003年以来すべてのアウディモデルの特徴になってきたシングルフレームグリルが設置されています。しかしながら、古典的なラジエターグリルとしての役割はほとんど持ちません。電気自動車であるAudi Elaine conceptは、内燃エンジンを積んだクルマのように大量の冷却エアは必要とせず、フロントに大きなエア取り入れ口を設ける必要もありません。
8角形をしたシングルフレームグリルの上部は、シャープに後退してボンネットの中央の面につながり、その上にブリッジが渡されて、その隙間にエアが流れる設計になっています。その部分に4リングスのロゴが立体的に浮き上がっています。ボディサイドはひと目見て、ほかのアウディ4ドアクーペ(Audi A5及びA7)との共通性が見出せます。上部がフラットにカットされたホイールアーチがキャビンから大きく張り出し、quattroのDNAが表現されています。ユニークな5スポークデザインを採用した23インチの大径ホイールにより、力強い存在感が演出されています。
Audi Elaine conceptは、通常のサイドミラーの代わりに小型のカメラをボディサイドに搭載しており、それにより空気抵抗と風切音を同時に減らしています。またこれにより、アナログミラーでは避けがたかった斜め方向のブラインドスポット(死角)を事実上なくすことができました。カメラの画像は、ドアに設置された専用のディスプレイに映し出されます。アウディはこのテクノロジーを、将来の量産モデルにも採用する予定です。
インテリアのパッケージングとデザイン
Audi Elaine conceptのインテリアは、バッテリー式電気自動車のアドバンテージを最大限活用した設計になっています。バッテリーなどのエネルギー収納ユニットはすべて床下に収納されており、モーター自体が占めるスペースも、様々な補器類や燃料タンクを必要とする内燃エンジンと比べて小さくなっています。フロントとリヤにそれぞれモーターを配する設計により、プロペラシャフトも不要になりました。その結果、キャビンの中央部分の設計が自由にできるようになり、Audi Elaine conceptでは、ドライバーズシートと助手席のシートのあいだに浮かぶような形でセンタートンネルコンソールが設置されています。
ドライバーを含めて4人の乗員には、それぞれ独立したシートが用意されています。リヤシートにもたっぷりとしたレッグルームとショルダールームが確保されています。ステアリングホイール背後とセンターコンソールの大型ディスプレイは、稼働していないときは黒いパネルに見えるだけですが、クルマのスイッチを入れると、たちまちディスプレイが浮き上がりきます。こうしたデザインは、ミニマルなデザイン美を追求した現代の民間用航空機のコクピットを彷彿とさせます。助手席の前の垂直の面にも、ナビゲーションデータや天候情報、外気温などを提示する横長のディスプレイが収められています。ラゲージコンパートメントは、通常の状態で550ℓの容量を備え、リヤシートを完全に折り畳むと、最大1,450ℓまで拡大することができます。
未来のコクピット&操作方式
Audi Elaine conceptのディスプレイ/操作モジュールは、水平基調で立体的なコクピットの基本構成と完全に融合しており、大型のTFTモニターとOLEDを用いたディスプレイが特徴になっています。ステアリングホイールの後ろにあるアウディバーチャルコクピットは、コンパクトなカウルに収まっていて、メインメニューの画面ではスピード、充電レベル、航続距離などが映し出されます。アウディバーチャルコクピットの両側には、それぞれタッチ機能を備えたパネルが配置されており、左側の小さなパネルで照明機能を、右側の10インチOLEDタッチディスプレイでインフォテインメント及びナビゲーションシステムの操作を行います。OLEDを用いたタッチスクリーンはまた、センターコンソールの大型ディスプレイの下にも配置されていて、これは空調や様々な補助的機能を操作するためのものです。
フロントのドアショルダーの前端に設置された、表面が微妙にカーブしたディスプレイは、デジタル式のサイドミラーとしての機能を果たします。タッチ式のディスプレイはリヤのドアショルダーにも設置されており、通常これは空調やインフォテイメントシステムを操作するためのものですが、クルマが停止しているときには、サイドミラーカメラからの映像を表示することができます。それにより乗員は、ドアを開けるとき背後から迫るクルマを確認できるようになり、事故の危険を減らせます。
Audi Elaine conceptにはLTEの高速通信モジュールが搭載されており、インターネットと常時接続することができます。乗員は手持ちのモバイル機器を使って外部から情報を得たり、eメールの送受信を行ったりできます。もちろんAudi connectで提供される様々なサービスも利用することが可能です。
ドライバーはまた、フラットボトムのマルチファンクションステアリングホイールを介することで、車載の様々なシステムを操作することができます。ステアリングホイールに設置された2つのパドルは、走行時のエネルギー回生レベルを切り替えるためのものです。センターコンソールには通常よりも細く短いセレクターレバーが設置されており、レバーを前後に軽く動かすことでドライビングプログラムが切り替わります。
3つのモーターの競演によるquattroドライブシステム
Audi Elaine conceptにはフロントに1つ、リヤに2つの合計3つのパワフルなモーターが搭載されており、あわせて320kWのパワーを提供し、ブーストモードでは一時的に370kWを発揮することも可能です。このモーターは、低速及び中間負荷領域も含めて、幅広い運転領域で高い効率を誇り、コンパクトなパワーエレクトロニクスを含め、水冷機構が備わっています。アウディはこの3つのモーターを用いるコンセプトを初めて、2015年のフランクフルトモーターショーで発表したAudi e-tron quattroで披露しました。パワーを4輪すべてに振り分けるこのシステムにより、Audi Elaine conceptも電動式のquattroになっています。
3つのモーターの働きは、制御ユニットが常時計算し、最適な連携が実現するようにしています。低速では、フロントアクスルのモーターだけが駆動を担います。ドライバーがSのドライビングモードを選んでアクセルペダルを床まで踏み込むと、ブーストモードに切り替わり、3つのモーターは合わせて370kWのパワーと800Nmのトルクを発揮するようになります。それによりAudi Elaine conceptは、0-100km/h加速を4.5秒で駆け抜け、リミッターが働く210km/hのトップスピードにも短時間のうちに到達します。通常のDのドライビングプログラムでは、Audi Elaine conceptの最高出力は320kWです。
モーターの制御においては、アクセルペダルのポジション、アウディドライブセレクトで選択されたドライビングモード、SもしくはDのドライビングプログラム、及びバッテリーの充電レベルなどが主なパラメーターとなります。それと同時に、自動運転のためのセンサーから送られてくる周囲環境に関するデータ、ナビゲーションシステムの予測ルートデータ、Audi connectを介して得るリアルタイムの交通情報なども判断の材料にし、無駄なエネルギー消費を最小化します。
通常のドライブにおいては、Audi Elaine conceptは減速をすべてモーターの働きで行い、なるべく多くのエネルギーを回収しようとします。油圧のブレーキシステムが働くのは、強いブレーキを必要とする場合だけです。ドライバーはエネルギー回生のレベルを数段階に調整することができ、低い設定にすると、特定の状況下ではエネルギー回生を行わないようになります。その一方で、高速クルージングなどではコースティング(惰性走行)を多用し、クルマの航続距離を延ばすようにします。
リヤに2つのモーターを配した構成は、スポーティなハンドリング性能を得る上で大きなアドバンテージとなっています。エレクトロニクスタビリゼーションコントロール(ESC)と連携し機能するトルクコントロールマネージャーにより、必要に応じてリヤ2輪間のトルク分配をアクティブかつ可変的に制御しています。モーターは瞬時のレスポンスが得られるため、精密な制御が可能になっています。
リチウムイオンバッテリー
先に発表されたAudi e-tron quattro concept同様、Audi Elaine conceptでもリチウムイオンバッテリーは前後アクスルのあいだ、パッセンジャーコンパートメントの床下に収納されています。このレイアウトによりクルマの重心点が下がり、52:48というバランスのとれた前後重量配分も実現しています。それがクルマの運動性能や安全性の面で大きなアドバンテージになっていることは、いうまでもありません。
水冷機構を備えたバッテリーは95kWhのエネルギー容量を備え、フル充電の状態であれば500kmを超える航続を可能にしています。2つのコネクターを用いるコンバインドチャージングシステムにより、直流電流(DC)でも交流電流(AC)でも充電が可能であり、直流&150kWのパワーで充電を行えば、わずか30分で400km走行できるレベルまで充電量を回復することができます。
またアウディワイヤレスチャージング(AWC)を使って、非接触での(ワイヤレス)充電も可能です。これは、コイルを内蔵した充電パッドを床に敷きその上にクルマを停めるだけで行えます。充電パッドから放たれる交流の電磁波により、Audi Elaine conceptの床に設置されたセカンダリーコイルに交流電流が発生し、車載のコンバーターによってそれが直流電流に変換されて、バッテリーは11kWのパワーで充電されていきます。バッテリーがフル充電の状態になると、充電は自動的に終了します。アウディワイヤレスチャージングの充電効率は90%を超え、効率の面でもケーブルを使った充電に引けを取りません。また人体や動物になんの悪影響もなく、充電パッドから電磁波が発せられるのはクルマが上に停まっているときだけです。
Audi Elaine conceptでは、ヒートポンプのシステムもエネルギー効率の改善に大きな貢献を果たしています。これは電気部品から発せられる熱を車内の空調に活用するもので、Audi Elaine conceptのサーマルマネジメントシステムの中核的コンポーネントになっています。
アダプティブエアサスペンションスポーツを採用したシャシー
Audi Elaine conceptのシャシーは、このコンセプトカーのダイナミックなキャラクターを反映した設計になっています。可変ダンパー機構付きのエアサスペンションであるアダプティブエアサスペンションスポーツは、効率面でもメリットをもたらしています。走行スピードにより車高を、最大63mmの幅で4段階に調整する機構により、高速での空気抵抗を減らしてくれるからです。アダプティブエアサスペンションプラスの制御は、アウディドライブセレクトのシステムを介して行います。
サスペンションは前後ともに、アルミや高張力スチールといった軽量部品を多用した5リンクのシステムを採用しています。ホイールは23インチで285/30サイズのタイヤと組み合わせており、フロント20インチ、リヤ19インチ径のディスクにより、強力なブレーキパワーも得ています。
*本リリースは、ヨーロッパ仕様に基づくAUDI AG配信資料の翻訳版です。