(ドイツ本国発表資料)
2024年1月11日 インゴルシュタット/ジェール:Audi Q6 e-tronシリーズの生産は、複数の拠点の協力関係によって成り立っています。この電動SUV Audi Q6 e-tronは、アウディがインゴルシュタットで生産する初めての電気自動車です。アウディ初のプレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)の電気モーターは、ハンガリーのジェールで製造しています。このインタビューでは、インゴルシュタット工場長 ジークフリート シュミットナー(Siegfried Schmidtner)と、アウディ ハンガリー取締役会会長 アルフォンス ディントナー(Alfons Dintner)が、2拠点間の連携、現在進行中の変革に対する従業員の受け止め方、インゴルシュタットおよびジェールの将来の見通しについて語っています。
インゴルシュタットの従業員は、今後のeモビリティへの移行をどのように受け止めていますか?
シュミットナー:私たちの従業員は、変革を実現する上での鍵となります。私は、彼らがとても前向きで、変化に意欲的に取り組んでいることを毎日実感しています。そこには、将来に対する積極的な姿勢を明確に見て取ることができます。私たちは、eモビリティへの移行の準備に懸命に取り組んでおり、現在そのための準備が整っています。eモビリティへの移行は、インゴルシュタットに大きなチャンスをもたらします。アウディは、PPEと新しいE3エレクトロニクスアーキテクチャーの先駆者となります。私たちは、会社の変革のために、重要な役割を果たせることを誇りに思っています。
変化を受け入れるにあたり、ジェールとインゴルシュタットはどのような課題に直面していますか?
ディントナー:ジェールは、30年間にわたってエンジンや車両の生産を行ってきました。数多くのモデルの発売を成功に導いてきた拠点なので、変革や時代の変化、そしてその時代に合った考え方に対応する土台があります。ここで働くスタッフは長年にわたってアウディに勤めており、非常に経験豊富です。さらに、アウディ ハンガリーでは、エンジンだけでなく車両そのものも生産しています。この拠点は、独自の技術開発部門、専用工具を内製するワークショップを備え、フォルクスワーゲン グループ全体にサービスを提供しています。これほど幅広いサービスを提供できる拠点は他にないため、私たちはグループ内で独自の責任を担っています。ですので、私たちにとって、変革は決して新しいことではないのです。私たちは2018年以来、電気駆動システムの開発、構築、テスト、サービスを行っています。PPEに対する貢献、つまりインゴルシュタットおよびその他のグループ内ブランド向けに完璧な電気駆動システムを製造することは、私たちにとって大きな責任であり、同時に大切な挑戦でもあります。
シュミットナー:私たちは共に、すべての取引先と拠点の間で、完璧な協力関係を構築することを目指して挑戦し、それがまさに実現できることを長い間証明してきています。それでも、新たなステップアップは、常に私たちにとってわくわくする挑戦であり、それがお互いを次のレベルへと引き上げ、さらに業務内容を改善するためのモチベーションになると考えています。会社の変革により、私たちはさらに緊密に協力するようになりました。両拠点は、包括的な変革に乗り出しています。それらは、ジェール、およびここインゴルシュタットにおける、内燃エンジンから電気モーターへの移行、内燃エンジン搭載モデルからeモビリティへの転換に加え、新しいバッテリー組み立て工場の建設など、それらに付随するすべての領域に及んでいます。
従業員とどのくらいの頻度で対話をしていますか?彼らは何を希望し、何を心配していますか?
シュミットナー:私は、インゴルシュタットで生まれて、アウディとともに育ちました。私は、業務時間内の空いた時間があればいつでも生産ラインに立ち、従業員との対話に努めています。個人的に親しくしている従業員も多くいます。チームとのオープンな対話をもつことは、私にとって非常に重要です。私は、工場長として、今の職場の雰囲気がどのようなもので、従業員がどのような不安を抱いているかを把握する必要があります。当然のことながら、従業員はこの拠点が将来的にどのような工場になるのかについて具体的に知りたいと思っており、それがどのように自分たちに関わってくるのかについて知りたがっています。今後のレベルアップに向けては、皆で協力して課題に立ち向かい、私たちが本当に強いチームであることを証明したいと思っています。私たちは、情熱を持って熱心に仕事に取り組むことで、この課題に対応しています。
ディントナー:将来について考えるとき、私たちは従業員と一緒に考えます。私たちは空想の世界で仕事をしているわけではありません。これは、生産ラインで仕事をしている人たちにも関係していることです。もちろん、従業員の間では、変革に対してある程度懐疑的な見方をする人もいます。電気モーターの部品点数は、内燃エンジンよりも大幅に少ないからです。さらに、eモビリティへの移行を実現すると、必要とする従業員の数が減ってしまうという懸念の主張も根強くあります。必ずしも私たちにとって好ましいとは言えない感情ですが、私たちの経験上、生産範囲は減少するのではなく、他の分野へと移行することが分かっていますので、私たちはこの懸念を乗り越えて前進してきました。例えば、アウディのパフォーマンスモデルの電気モーターは1基だけではなく、通常リアアクスルとフロントアクスルに2基以上のモーターを必要とします。そして、私たちは2018年以来、電気モーターの製造に成功してきました。もちろん、アウディ ハンガリーでは、従業員がこれまでとは異なる職種に就くことが時にありますので、変化に直面したときの不確実性はある程度発生します。私たちの従業員は、エンジン製造から車両製造へ、あるいはその逆へと常に異動してきました。そのため、私たちのチームは、この点において非常に柔軟に対応することができます。私たちにとって、変革には必ずしも心配が伴うわけではありません。それは、変革にうまく対処するためのプロセスなのです。
それぞれの拠点との協力関係について、具体的に説明してもらえますか?
シュミットナー:私の考えでは、協力関係には2つのレベルがあります。例えば、工場長の間では、相手から何を学べるか、どこで一緒にプロジェクトを開始できるかなどについて、戦略的な意見交換が交わされています。さらに、技術交流、つまりそれぞれのテーマに固有の技術的なトピックについて協力するワーキンググループも存在しています。ジェールとインゴルシュタットには、30年以上に及ぶ、非常に緊密な協力関係の長い伝統があります。私自身もジェールで2年間を過ごしました。人々はお互いを良く知っており、信頼しています。私たちの協力関係には非常に強固な基盤があり、それをさらに発展させ続けているのです。全く新しい車両プラットフォームを搭載するAudi Q6 e-tronの生産にあたり、完成ライン全体において非常に重要です。電気駆動システムとパワーエレクトロニクスは、この車両プロジェクトの重要なコンポーネントなのです。
ディントナー:インゴルシュタットとの交流は、例えば電気モーターに関するものでは、技術開発、品質保証、現場立ち上げチームの間で広範囲に行われています。私たちの分析および試作センターは、部分的に組み付けられたボディをインゴルシュタットから定期的に受け取り、ジェールの施設で作業を行っています。つまり、素晴しい協力関係が構築されているということです。私たちはすでに、44人の従業員から、技術面をサポートするためにインゴルシュタットで1年間を過ごしたいとの申し出を受けています。お互いをサポートするのが、私たちの慣例となっています。生産ネットワークの全従業員が、この考え方を受け入れています。
インゴルシュタットの雇用拡大は、何を意味していますか?
シュミットナー:これほど多くの新入社員を採用するのは久しぶりです。生産部門だけでも合計500人を採用しました。これは、インゴルシュタット市と地域全体にとって非常に有益です。私はこの地域の発展に深く関与してきましたが、今回の雇用はそれをさらに推進するものであり、激動の時代における雇用の保障するものです。すでにアウディで働いている従業員に対しても、これ以上ない最高の条件を提示しています。雇用の拡大と同時に、革新的なE3アーキテクチャーにより、新たな活動分野が開かれます。例えば、エレクトロニクスの専門知識はさらに必要とされます。私たちは、これまでとは大きく異なるテクノロジーにより、車両エンジニアリングをさらなる高みへと引き上げています。コネクティビティ、デジタル化、自動化といったテーマにはさらに深く関与していきます。
これは、アウディの将来の生産ビジョンである360factoryのトピックへと完璧に繋がっていると思います。収益性、持続可能性、柔軟性、魅力の点で、各拠点の変革はどの程度進んでいますか?
ディントナー:ジェールは素晴らしい拠点であり、360factoryは生産性をさらに高めることにも貢献します。この点で、すべての拠点が同じ課題を克服する必要がありますが、私たちは、良好に進捗しています。変革の時期にあっても、従業員の個々の能力を有効に活用することができる機会を得ています。生産性、カーボンニュートラル、品質の点で、私たちは既にとても素晴しい成果を収めています。ジェール拠点は今年、9回目となる「ハンガリー最優秀雇用主」に選ばれました。これは、私たちが非常に魅力的な雇用主であるということを証明するものです。アウディ ハンガリーでは、従業員を会社に定着させながらも、才能ある人材を雇用することをよいバランスで実施しています。
シュミットナー:インゴルシュタットはアウディグループの本社として、常に先駆的な役割を果たしています。私たちは、とても高い目標を掲げ、世界で最も魅力的な自動車工場を目指しています。この目的を達成するために、私たちは具体的に取り組んでいる10の戦略的分野を特定しました。経営側から戦略を押し付けるのではなく、従業員も参加して実施しました。私は、従業員の参加をより重視しています。それはつまり、戦略は、人々が積極的に参加、実現、実装して、初めて効果を発揮するからです。工場の準備も整い、素晴らしい製品が誕生しました。私たちは皆、Q6 e-tronシリーズの生産に全力を尽くし、このモデルが路上を走る瞬間を今から楽しみにしています。このニューモデルは2023年12月に生産を開始し、現在、順次生産を進めています。
略歴
ジークフリート シュミットナー:1971年インゴルシュタットに生まれ。大学を卒業した後、1998年にアウディに入社、エンジンとシャシーの企画に参画。さらに、様々な役職を歴任した後、2017年に、プレミアムプラットフォームエレクトリック車両およびプラットフォームプロジェクトの生産活動の企画および管理を担当する生産部門のプロジェクトマネージャーに就任。生産部門におけるプラグインハイブリッドを含むAudi A4、A5、Q5のプロジェクトマネージャーも兼任。2018年から、生産戦略、デジタル化、変革に重点を置き、アウディ生産部門の主要な機能を統括。2019年には、生産と技術開発の接点として新設された プロダクトエンジニアリング部門の管理を引き継ぎ、2022年12月、インゴルシュタット工場長就任、現職。製造関連すべての領域と拠点固有の問題の統括責任者を務める。
アルフォンス ディントナー:1963年バイエルン州ケシング生まれ。アウディで職業訓練を修了し、ミュンヘンで学んだ後、1987年にインゴルシュタットのアウディに入社。1998年、Audi TTおよびアウディ インディビジュアル ペイントショップの責任者となり、2001年、インゴルシュタット工場ペイントショップ統括マネージャーに就任。この間、アウディにおける役職に加え、セアト、フォルクスワーゲン南アフリカ、ベントレー、ランボルギーニ、一汽フォルクスワーゲンなど、フォルクスワーゲン グループ内でさまざまな計画、コンサルティング、管理業務を担当。2011年、生産および物流担当取締役として、フォルクスワーゲン メキシコに着任、シラオのフォルクスワーゲン集約サイトの開発および強化の統括責任者を務める。その後、アウディメキシコ最高経営責任者(CEO)として、メキシコのサンノゼチアパにあるアウディ拠点の開発と立ち上げを統括。2019年10月、アウディ ハンガリー取締役会会長就任。
※本リリースは、AUDI AG配信資料の翻訳版です。