(ドイツ本国発表資料)2023年12月20日、インゴルシュタット:電気自動車を所有する上で、充電は簡単でリラックスできるものでなければなりません。充電するたびに価格を比較したり、特定のプロバイダーの充電ステーションを探したりという電気自動車のユーザーの手間は軽減されるべきです。AUDI AGチャージングプロジェクトハウス責任者イェンス ファン エイケルス(Jens van Eikels)は、充電、インフラ、テクノロジーに携わる中心的人物で、電気自動車のドライバーが何を望み、何を期待しているのか、把握しています。このインタビューでは、この分野の専門家であるファン エイケルスが、充電プロセスや様々な充電方法、提供するサービスをさらに簡単に利用する方法について、アウディがどのように取り組んでいるかについて説明します。
アウディは、なぜ充電というテーマにこれほど焦点を当てているのですか?
イェンス ファン エイケルス:簡単に言えば、eモビリティの成功は3つの要素によって決まると考えています。第1に、あたりまえのことですが、車自体が魅力的でなければなりません。これは、何よりもその品質と充電性能にかかわることで、アウディにとって非常に重要です。アウディにとって、電気自動車の充電曲線が長い時間にわたって高いレベルを維持することが重要です。これは、車がより長い時間より多くの容量を充電できることを意味します。2番目の要素はコネクティビティ、特にスマートフォンと車両との接続です。これにより、ドライバーは走行ルートに沿って充電計画を確実に立てることが可能になり、必要に応じて走行前にエアコンを作動させて事前に準備することができます。3番目は、質の高い充電およびサービスの提供です。アウディは、長距離の移動に焦点を当て、自宅での充電と路上での充電を区別し、どちらでも便利に充電できる機会を提供しています。都市部での急速充電については、特に自宅や職場に充電施設を持たないドライバーにとって不可欠です。私たちは、すべてのお客様にとって便利なソリューションを開発するために、あらゆる充電シナリオに取り組んでいます。
アウディはどのように、充電を単なる必要性からプレミアムな体験へと変えるのですか?
ファン エイケルス:あらゆる充電ニーズに対応できる適切なサービスを用意しておくことが重要です。これは、お客様に満足していただける充電体験の基本となります。私にとって、プレミアムな充電とは、快適な環境で素早く簡単に充電できることを意味しています。Audi charging hub(アウディ チャージング ハブ)は、プラグ&チャージ機能を含めて、これらの基本的な要素をすべてカバーしています。互換性のある充電ステーションでは、充電ケーブルが接続されると車両が自動的にステーションを認証して充電機能を有効化し、請求も自動的に行われます。また、人間工学に基づいた設計およびさらなる利便性の両方を追求して、すべてのAudi charging hubはケーブルホルダーシステムを採用しています。また、アクセスしやすい充電プラグと大型の情報ディスプレイにより、お客様に満足していただける充電体験を提供します。ニュルンベルクのAudi charging hubには快適な待合ラウンジがあり、他の場所ではレストランやショッピング施設がある都市部に設置されています。2024年以降、近くにAudi charging hubがないお客様も、個々のニーズに応じて有意義に充電時間を過ごすことができるようになります。
お客様は充電に何を求めていますか?また最大の問題点は何ですか?
ファン エイケルス:充電設備の不足に関する従来の問題点は、現在では大幅に改善されています。特にドイツでは、登録済みEVに対する充電インフラの比率が以前よりもバランスよく保たれています。
しかし、eモビリティがより幅広く普及するためには、日々の走行距離に短時間の充電で対応できることが、決定的に重要な一歩であることは私たちも理解しています。したがって、アウディは電気自動車を開発する際に、充電施設の数と急速充電という2つの要素に焦点を当てています。プレミアムプラットフォームエレクトリック(PPE)を採用するニューモデルは、急速充電(HPC)ステーションで10分間充電するだけで、約250kmを走行できるようになります。また、バッテリーを10~80%まで充電するのに必要な時間も約20分間です。
アウディは充電に関して競合他社とどのように差別化を図っていますか?
ファン エイケルス:アウディは、都市部におけるAudi charging hubコンセプトにより、他社に先駆けて利便性の高い充電に焦点を当てた急速充電(HPC)体験をお客様に提供しています。中国では、アウディブランドの充電ステーションの数が急速に増加しており、プレミアムなエコシステムの基盤を構築しています。これらの充電ステーションは、魅力的な場所に設置され、予約機能とプラグ&チャージ機能を備えており、特に大都市で増加する充電需要を満たす未来志向のインフラの好事例となっています。フォルクスワーゲン グループは、米国のElectrify America、欧州のIONITY、中国のCAMSといった力強いパートナーと協力して、非常に高い出力を備えた急速充電ネットワークに出資しています。ドイツでは、エネルギーおよび充電ソリューションにおけるフォルクスワーゲン グループ傘下ブランドのElliをはじめとするパートナー企業とも連携しています。IONITY、Aral pulse、Ewivaといった厳選されたパートナーネットワークにより、アウディは、一般のお客様向けに信頼できる充電ネットワークを構築し、また、高品質な急速充電をアウディ充電サービスによる魅力的な料金で提供することができます。また、家庭での充電に関しては、コンパクトなモジュラーe-tron充電システムとオプションの充電システムコネクトにより、最大限の柔軟性を提供し、ローコストなオフピーク電力および太陽光発電を最適化した充電も可能にします。
アウディが理想とするサービスとのギャップはありますか?
ファン エイケルス:私たちは、車両、ナビゲーションシステム、充電インフラ間のシームレスな統合を含め、すべてのお客様にスムーズで確実な充電体験を提供するため、さらなる開発を進める計画を立てています。これらの計画がすべて実現した時、初めて私たちは満足するでしょう。これは、誰もがeモビリティのメリットを確実に享受できるようにするための重要な要素になります。
新しいAudi chargingシステムに対するお客様の反応は?
ファン エイケルス:私たちは、契約数だけでなく、幅広いサービスとシンプルな料金プランを備えたヨーロッパでのAudi chargingのお客様の利用状況に非常に満足しています。私たちは、ヨーロッパ全土で高い競争力を誇り、一貫した価格設定を実現し、毎月約5,000人の新規顧客を獲得しています。2023年の初めから、アウディのお客様は合計1,700万kWh以上を充電しました(2023年12月13日時点)。そのうちの85%が急速充電ネットワークによるものでした。私たちのお客様の多くは、アウディが維持費を負担する最初の1年後も引き続きAudi chargingを利用しています。これは、アウディのサービスがお客様の共感を呼んでいることを示しています。現在、ヨーロッパ29か国に約60万か所の充電ポイントが設置され、その中でもニュルンベルクにあるAudi charging hubの利用が最も多いという結果になっています。これは、プレミアムな急速充電ネットワークの構築に重点を置く、アウディの戦略が正しく機能していることを裏付けています。
アウディの従業員も社内で充電していますか?そのために、拠点ではどのような対策をしていますか?
ファン エイケルス:日々の走行において、職場での充電は、自宅や車庫の近くで充電できない従業員にとってとても重要です。そのような従業員にとって、信頼性の高い代替充電手段を提供することは特に重要ですので、アウディでは、従業員の駐車スペースの5%以上を電気自動車の充電に対応できるようにしています。
過去1年間で、充電インフラはどのように発展しましたか?
ファン エイケルス:近年、世界のほぼすべての地域で公共充電インフラの開発が大幅に加速しています。現在、ヨーロッパには74万か所以上の充電ポイントがありますが、これは、2021年末と比較して、充電ポイントの数が約2倍になったことを意味します。しかし、依然として大きな地域差があります。ドイツには2023年末までに12万か所以上の充電ポイントが設置される予定です。現在のドイツ国内の電気自動車の数が約130万台であることを考慮すると、これはよい数字ですが、将来的に電気自動車の数が増加してもこの比率を維持するには、充電インフラを拡張するためにさらに多くのことを行う必要があります。HPC急速充電インフラに関しても地域差が見られます。2021年末以来、ドイツでは4.5倍のペースで成長しているのに対し、ヨーロッパ全土では6.8倍ものペースで成長を遂げています。
アウディが充電のための基準を設定している市場はどこですか?
ファン エイケルス:中国、米国、ヨーロッパといった大きな市場は、もちろんアウディにとって最優先地域である一方、ブラジル、インド、南アフリカなどの国にも注目しています。アウディは当初、ディーラーネットワークを通じて急速充電インフラを提供しましたが、eモビリティへの移行は主要な市場だけで起こっているわけではありません。私たちは、世界中のお客様に、急速充電が可能なアウディの電気自動車のメリットを享受していただきたいと考えています。そのため、国際的なプロジェクトでは、主にインポーターおよびディーラーネットワークが充電インフラの構築を担っています。これには対応する急速充電インフラが必要となるため、アウディは、世界中の市場でそのようなインフラの開発を加速することを目指しています。
セカンドライフバッテリー(使用済みバッテリー)の蓄電容量は、どれくらいありますか?
ファン エイケルス:アウディは現在、充電インフラのエネルギー需要をサポートするため、セカンドライフモジュールを使用した蓄電システムを多くの場所に導入しています。Audi charging hubで利用しているシステムは、良好な運用実績を残しています。さらに、ネッカーズルム拠点内に整備された充電インフラは、3つの525kWhバッテリーキューブから電力が供給されています。また、5つの移動式充電キューブと、使用済み車両のバッテリーを使用した2つの大型コンテナを運用して、電力が必要な場所で供給を行っています。これらの移動式充電ステーションは、ダボスで開催された世界経済フォーラムや、ノルウェーのスキーリゾートで週末に開催されるイベントなどで使用します。充電キューブはほぼ常に予約で一杯になっているため、このような移動式のソリューションを拡大することを検討しています。これにより、柔軟かつ電力網に負担をかけない充電が可能になります。
アウディにとってグリーン電力はどのような役割を果たしますか?アウディは、どのようなプロジェクトをサポートしていますか?そして、どのような会社がパートナーシップに関わっていますか?
ファン エイケルス:2019年にAudi e-tronが発売されて以来、私たちはグループパートナーのVW-Naturstrom社を通じてドイツのお客様にグリーン電力契約を提供してきました。ドイツのメクレンブルク フォアポンメルン州にあるソーラーパークには42万枚のソーラーモジュールが設置されており、ドイツ初のグリーン電力の供給拡大プロジェクトですが、アウディは、この取り組みのためにドイツの電力会社RWE社と提携しました。アウディにとって、電気自動車がグリーン電力で充電されることは非常に重要です。
アウディの充電に関する将来のトピックとは?
ファン エイケルス:多くの人は、双方向充電が将来的に注目されるテーマであると考えています。アウディも同様です。私たちのチームはすでに、より大きなバッテリー蓄電システムを使用した双方向充電をテストしています。Audi charging hubと同様、ベルリンのEUREFキャンパスにある容量1.9MWhの多目的蓄電システムは、アウディの開発車両から取り外されたセカンドライフ リチウムイオンバッテリーを使用しています。この拠点は、電気自動車と電力網の間のさまざまな相互作用シナリオをテストすることにより、リアルワールドの実験室として機能しています。さらに、アウディの電気自動車の運転をさらに魅力的なものにするものは他にもたくさんあります。例えば、お客様が充電システムと組み合わせて太陽光発電を利用し、自宅で生成したエネルギーで車両に電力を供給することです。これは、すでに実現しています。また、2025年からオプションとしてドイツで開始される、ダイナミック電力プランの提供なども検討しています。
イェンス ファン エイケルス略歴
1971年にドイツのホンベルクに生まれ、産業機械工としての教育を受ける。カッセル大学で機械工学を学び、ダイムラーベンツで卒業論文を書いた後、1998年にアウディの品質保証部門でキャリアをスタート。品質保証部門で様々な役職を歴任した後、複数の管理職を経験。2010年には、アウディ初のプラグインハイブリッドモデル、Audi A3 e-tronの統括プロジェクトマネージャーに就任。その後、アウディ初の電気自動車、Audi e-tronの責任者およびe-tronモデルシリーズの責任者として、電動化における先駆的な役割を果たす。2021年より現職AUDI AGチャージングプロジェクトハウス責任者。
※本リリースは、AUDI AG配信資料の翻訳版です。