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2023/07/20Sustainability

電子廃棄物からハイテク金属を回収: アウディ環境財団、新しいリサイクルプロセスの研究に資金提供

  • 拡張可能なリサイクルプロセスにより、戦略的に重要な金属を回収
  • フライベルク工科大学とインジウム、ガリウム、スズを選択的抽出する「ツイーザーテクノロジー」の開発プロジェクトをスタート
  • アウディ環境財団ディレクター レクナゲル:「多様な資源リサイクルの確立に重要な役割を果たす」

(ドイツ本国発表資料)

2023年7月12日、インゴルシュタット:アウディ環境財団は、フライベルク工科大学と協力して、リサイクルにより原材料を回収する新しい方法を研究しています。インジウム、ガリウム、スズといった素材は限りある資源で、光ファイバー、太陽光発電、半導体など、現代のテクノロジーにとって不可欠な素材です。すべての電子機器は、これらを含むパーツで構成されています。現在、焼却廃棄物からこれらの原材料を回収する選択的抽出プロセスが計画されています。このような素材の多くは、電子部品が家庭ゴミとして捨てられることによって失われています。新しいプロセスは、これらの貴重なハイテク金属を、リサイクル工程に取り込むことができるように設計されています。


2019年、ドイツではひとり当たり約16トンの一次原材料が消費されました*1。これには、バイオマスや化石燃料に加え、鉄、銅、鉛、亜鉛鉱石など天然資源から抽出されたすべての原材料が含まれます。ドイツでは、現在後者は、ほぼ完全に輸入に頼っています。しかし、金属素材は限りある資源であり、多くの場合産出量が非常に少ないか、採掘場所が世界各地に分散しています。さらに、金属は純粋な形では存在せず、鉱石の中にわずかな量が含まれている場合が多いため、加工する前に複雑な熱化学プロセスにより抽出する必要があります。それでも、それらの金属はeモビリティ、通信、太陽光発電など、数多くの未来のテクノロジーにとって不可欠です。United Nations World Resources Council(国連の世界資源関連組織)は、それらの金属の需要が2030年までに、世界中で増加すると予測しています。世界中で使用される電子機器の増加に伴い、原材料や金属、さらには半導体の需要も増加していることが理由です。これらのデバイスには、専用の半導体で構成された電子回路が組み込まれているため、レアアース元素がなければ機能しません。

これらの金属は、希少で重要な元素であるにもかかわらず、意図せずに失われることがよくあります。
多くの人が、懐中電灯、USBメモリースティック、充電プラグやケーブル、さらには携帯電話などの小型電子機器を専用の回収場所に廃棄せず、家庭ゴミとして捨てています。ドイツでは通常、家庭から出た廃棄物は熱処理、つまり焼却されます。このプロセスでは、廃棄物に含まれる貴重な原材料を、産業用に効果的に回収することはできません。それらは、廃棄物の副産物であるスラグまたはフライアッシュの中に残り、最終的に埋め立てられます。これは、重要な元素が、リサイクルプロセスから離れ、完全に喪失されてしまうことを意味しています。そこで、アウディ環境財団が資金提供する、インジウム、ガリウム、スズの選択的抽出に関する研究プロジェクトが発足しました。このプロジェクトは、家庭廃棄物焼却後の飛灰またはスラグに含まれている金属を抽出して、新しい製品に使用することを目的としています。このアプローチの採用により、リサイクルと再利用を通じて、原材料を新たに採掘する必要がなくなり、鉱業による環境への影響だけでなく、鉱石および精錬材料(つまり、原材料に相当する物)の国際貿易から生じる排出量を削減することができます。

金属イオンを回収する専用ツイーザーヘッド
現在、選択的抽出法に基づいたリサイクルプロセスは、フライベルク工科大学の化学博士課程の学生、ベティ ライビガーの研究室で開発されています。ライビガーは、次のように説明しています。「この研究の課題は、目的の金属イオンと特異的に結合する分子を生成することです」。簡単に言えば、フライアッシュ溶液から目的の金属イオンを取り出して分離させる、特別な形状の「ツイーザー」(ピンセット)を開発することを意味しています。専門用語でリガンド(生体分子と複合体を形成して生物学的な目的を果たす物質)として知られる専用の「ツイーザーヘッド」は、インジウムなどの特定の金属イオンを1つだけ結合させます。ライビガーは、次のように続けています。「次に、酸を使用してツイーザーからイオンを放出させます」。このアプローチにより、個々の金属イオンを混合物から徐々に分離し、技術的用途に使用できる純度にすることが可能になります。

ライビガーは、次のように説明しています。「現時点のプロジェクトでは、数多くの素材に対応するツイーザーヘッドを開発することに重点を置いています。その後、テストを行い小規模なプロセスを経てさらに最適化します」。最適化が完了すれば、プロセスをスケールアップできる可能性が広がります。次のステップでは、廃棄物の副産物である実際のリアルフライまたは再処理したリアルフライから、浸出溶液を使用した抽出実験が行われます。

環境に配慮した資源の利用
本プロジェクトおよび関連する博士論文の作成は3年間にわたって行われ、アウディ環境財団は、プロジェクトの開始から来年まで。資金を提供する予定です。アウディ環境財団ディレクターのリュディガー レクナゲルは、次のように述べています。「資源には限りがあります。そのため、有効に活用することが重要です。産業用にそれらを大量に活用できる場合はさらに重要です。このプロセスは、資源リサイクルの確立に対して科学的に貢献するだけでなく、アウディのGreenovation(グリーノベーション)アプローチに沿って、伝統的な環境保護対策と革新的なテクノロジーを結び付けるものでもあります」。プロジェクトのもう1つの目的は、環境に配慮した原材料の使用に対する意識を高めることです。

アウディ環境財団のプロジェクトの多くは、原材料がどのように無駄に廃棄されているかについて認識を高めるとともに、原材料をどのように有効に活用するのかについての提案も行っています。

• ドイツ/インドの新興企業Nunamを例に挙げると、アウディ環境財団から資金提供を受けて、使用済みバッテリーを移動式エネルギー貯蔵ユニットとして再利用しています。Nunamはまた、使用済みAudi e-tronの開発テスト車両から取り外された2基の使用済みバッテリーを使用して、ソーラーナノグリッドを構築しました。これにより、資源が節約され、リサイクルおよび新品バッテリーの製造に使用されるエネルギーが節約されます。
• 海洋プラスチック汚染は、世界的な問題です。アウディ環境財団は、CLEAR RIVERSとともに、この解決策の開発に貢献したいと考えています。ブリュッセル - シャルルロワ運河、ブダペスト、ロッテルダムなどの河川や港に設置されたゴミトラップは、プラスチック廃棄物が海に流出するのを防ぐように設計されています。集められたゴミは分別され、リサイクルされます。
• クローズドループコンセプトは、アウディの「ハイテクエレメントの持続可能な抽出」プロジェクトでも重要な役割を果たしています。アウディ環境財団は、フライベルク工科大学と協力して、ガリウム、インジウム、ゲルマニウムなどのハイテク金属やレアアース元素を抽出するための新しい手段を研究しています。

*1 http://www.umweltbundesamt.de/ressourcenbericht2022 P.44

アウディ環境財団は、住みやすい未来を構築するための新しいテクノロジーおよび科学的手法の研究を積極的に支援しています。その目的は、環境を保護し、持続可能な行動の機会を創出および促進することです。この財団は、環境に適した技術の支援および開発、環境教育の推進、人間、動物、植物の天然資源の保護に特に重点を置いています。アウディ環境財団は、2009年にAUDI AGの完全子会社として設立され、アウディの社会および環境方針に関する取り組みの一翼を担っています。

※本リリースは、AUDI AG配信資料の翻訳版です。

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