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2023/05/09Sustainability

アウディ環境財団、泥炭地保護プロジェクトを支援

  • アウディ環境財団、ドナウモースの泥炭地再湿潤のための最初のプロジェクトを支援
  • 泥炭地保護のために設立された気候保護団体、5月初旬から活動を開始
  • 実施する再湿潤の方法に沿う適切な温室効果ガス認証を発行、地域の農家に対価を提供

(ドイツ本国発表資料)

2023年4月20日、インゴルシュタット:泥炭地は、効率的で長期的な炭素貯蔵庫と考えられています。泥炭層は膨大な量の炭素を蓄えることで、大気中のCO2削減に役立っています。アウディ環境財団が資金を提供するフィジビリティスタディ「CO2-regio」は、排水ベースの農業から持続可能な泥炭地保護へ、土地活用の転換をどのように達成できるのかをテーマとしています。この研究では、ドナウモース(湿地帯)での再湿潤(水を入れて泥炭地に戻す)対策を、地元の農家とどのように協調して実施するかについて調べています。


バイエルン州最大の湿地である旧バイエルン ドナウモースは、部分的に再湿潤化され、ドイツのCO2 排出量抑制に重要な貢献をすることになります。そのため、ヴァイエンシュテファン-トリースドルフ応用科学大学(HSWT)の科学者は、インゴルシュタットとアウグスブルクの間の地域の湿地、森林、腐植土の温室効果ガス相殺能力を研究し、土地活用のための代替策を考案するために2年間を費やしてきました。5月には「CO2-regio」が、最初の気候認証を受けた泥炭地保護プロジェクトの実施を開始します。

アウディ環境財団やLEADER※(EUの補助金プログラム)などが資金提供しているこの研究では、地元の農家が、これまで農地だった土地をどのように代替的に活用し、それに対する補償を受け取ることができるかについての洞察を提供しています。そのための1つの方法は、気候認証を発行することです。この証明書の価値(受け取ることのできる対価)は、実施する保護対策によって異なります。「CO2-regio」プロジェクトマネージャーのジョナス ガルディアスは、次のように述べています。「私たちの目標は、気候保護対策を実施し、温室効果ガス認証を発行し、気候保護に貢献したい人々が、その対価を得ることができるサイクルを確立することです」。その目的は、農場を土壌の価値を維持する湿地に戻す対策を、素早く実施できるようにすることです。

気候認証による経済的支援
この目的のため、HSWTの科学者は、腐植土の形成、再植林、アグロフォレストリー(同じ土地で植林や農業、畜産を行う農林業)、バイオ炭の生産、泥炭地保護などの対策を検討し、温室効果ガス認証を発行して、農家に経済的な支援行うための実行可能性を評価しました。研究リーダーで植生生態学者のDr. マティアス ドレスラーは、次のように述べています。「個々の対策の間には大きな隔たりがあります。腐植土の形成は、1ヘクタールあたり年間最大2トン(炭素当量)の温室効果ガス抑制を可能にします。再植林の場合、その数値は5~19トンになります。これらの対策の中でも、泥炭地の保護は明らかに最善の対策で、年間10~50トンの温室効果ガス抑制効果があります」。

排水ベースによる農業の転換
この研究では、もう1つの重要な側面として、どのように土地を活用すれば、泥炭地の再湿潤による生態学的および経済的な価値が得られるのかについての概要を示しています。地域を再び湿地に戻すと、これまで行われていた従来の農業はできなくなります。しかし、一定の条件下では、太陽光発電システムの設置、湿式農業および畜産、パルディカルチャー(湿地植物の栽培)などの代替手段の実現が可能です。

気候保護のためのバイオ炭の生産:CO2を長期的に貯蔵
調査地域で成長しているバイオマスは、バイオ炭の生産に利用することができます。ジョナス ガルディアスは、次のように説明しています。「バイオ炭の生産は、石炭火力発電の行程を逆転させることを意味しています。つまり、何百万年もの間、地球に炭素を貯蔵してきた石炭を燃やす代わりに、植物を炭化させることにより、長期的な温室効果ガスの貯蔵庫に変えることができます」。建材(クライメイトポジティブコンクリート)に組み込まれたバイオ炭は、恒久的な炭素吸収源として機能し、都市樹木の土壌として利用することができます。この研究によると、ドナウモースでバイオ炭を生産する熱分解プラントは、気候認証の発行に加えて、約5年から10年で採算が取れるようになることが示されています。

プロジェクト作業と証明書の発行:気候保護団体は5月に活動を開始
5月には「CO2-regio」気候保護団体が活動を開始します。ノイブルク アン デア ドナウに拠点を置くこの非営利団体は、土地所有者に助言し、農業を支援し、HSWT泥炭地科学センターによって検証された気候保護プロジェクトを実施します。このプロジェクトによる収益は、参加している農場に配分されます。アウディ環境財団の資金提供により、ドナウモースの約4ヘクタールの土地で、最初のプロジェクトがまもなく開始されます。アウディ環境財団ディレクター リュディガー レクナゲルは、次のように述べています。「私たちは、泥炭地の保護は価値ある取り組みで、将来的に私たちの地域の気候フットプリントの改善に重要な貢献をすると確信しています」。この非営利の気候保護団体は、2026年から自己資金で運営される予定です。

フィジビリティスタディの概要:
調査期間:2021年5月~2023年4月
プロジェクトスポンサー:一般社団法人「Energie Effizient Einsetzen(エネルギー効率利用)」協会
資金提供:LEADER(EU補助金プログラム)、アウディ環境財団、地方自治体/市/郡の協会
パートナー:ヴァイエンシュテファン-トリースドルフ応用科学大学(HSWT)およびProlignis

長期的な炭素貯留層としての泥炭地:フィジビリティスタディ「CO2-regio」の開始 (英語のみ)

「CO2-regio」と炭素証明書の実現可能性調査についての詳細 (英語のみ)

アウディ環境財団の活動についての詳細 (英語のみ)

※ LEADER(Liaison Entre Actions de Développement de l'Économie Rurale)は、農家、地方企業、地方組織、行政当局、地方行動グループ(LAG)のさまざまな部門の個人をまとめるボトムアップ組織による欧州委員会のアプローチです。LAGは、独自の地域開発戦略を策定し、独自の予算により活動しています。LEADERアプローチは、地域社会のつながりを強化し、分野横断的なイノベーションを促進し、LAGが国レベルおよびEUレベルで知識を共有しやすくします。https://agriculture.ec.europa.eu/common-agricultural-policy/rural-development_de#leader

※本リリースは、AUDI AG配信資料の翻訳版です。

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