- 歴代Audi RS 6最大の特徴は、先駆的なパフォーマンスと日常走行における優れた利便性の融合
- 最新Audi RS 6 Avantは、専用のワイドボディをもつ、セグメントの世界的なマーケットリーダー
- 4世代を通じて、DRCサスペンションが、ファーストクラスのドライビングダイナミクスを実現
(ドイツ本国発表資料)
2022年7月25日、インゴルシュタット:Audi RS 6は、20年間、4世代にわたって進化を続け、世界中のファンを魅了してきました。Audi Sport GmbHが製造するこのモデルは、印象的なパフォーマンスと日常走行における優れた利便性を兼ね備えた、ハイパフォーマンス ステーションワゴンです。2002年に初代モデルRS 6(C5)が登場して以来、このコンセプトの成功の礎となってきたのが、ツインターボチャージャーエンジンとquattro 4輪駆動システムです。この基本的なコンセプトは、Audi RS 6すべての世代にわたって貫かれてきました。非常に競争が激しいこのセグメントで、このモデルは何度も新たな基準を設定してきました。技術的な面におけるVorsprung(先進)は、DRC(ダイナミックライドコントロール)サスペンションをはじめ、様々な点に見ることができます。このサスペンションは、他のRSモデルでも長年に渡って採用されてきました。
第1世代 Audi RS6(C5):アッパーミドルセグメントの高いパフォーマンス要件に適合
2000年という新たなミレニアムを迎え、当時のquattro GmbH(現在のAudi Sport GmbH)は、Audi RS 4に続く、スポーティなモデルの開発を摸索しており、そこで選ばれたのがAudi A6でした。第5世代Audi A6(C5)は2001年に製品アップデートが行われ、アウディは、アッパーミドルセグメントに属するこのモデルに、より高性能なエンジンを搭載したいと考えました。
アウディブランドにとってハイパフォーマンスモデルは、重要な役割を果たしており、モータースポーツも高い人気を誇っていました。アウディは1999年に伝説的なルマン24時間レースに初参戦し、勝利を目指して戦い、2000年、2001年、2002年には3連覇を果たし、ルマン24時間レースで通算13勝を挙げ、ポルシェに次ぐ史上2番目に成功したチームとなりました。quattro GmbHのエンジニアは、Audi A6を一流のスポーツカーに仕立て上げるために多大な努力をしました。その領域は、エンジン、サスペンション、トランスミッションの改良に留まることなく、サイズにも変更を加え、RS 6は全長および全幅がそれぞれ4cm拡大されました。新しいスカート、幅広いシル、Avant用スポイラー、Sedan用のトランクスポイラーエッジ、18インチあるいは19インチホイール、2本の楕円形のテールパイプなどが、そのスポーティなキャラクターを強調しました。
2002年、アウディ最強のエンジンを搭載
掲げられた目標は、第2世代Audi A8(D2)用の8気筒エンジンを搭載することでした。このエンジンは既にS6に搭載され、過給機なしで340PSを達成していました。それでも、このエンジンをRS 6に搭載するには、数多くの改良が必要でした。ツインターボチャージャーを装着した4.2リッターエンジンは、当時のA6のボディには収まりませんでした。そのため、quattro GmbHはA6のフロントエンドを拡大し、V8エンジンを設置するために4cmのスペースを確保しました。この初代RS 6に搭載されたエンジンは、インゴルシュタットやネッカーズルムではなく、イギリスでファインチューニングが行われました。quattro GmbHとともに、2004年までAUDI AGの子会社であった英国エンジンメーカーのコスワースが作業を担当し、450PSの最高出力と560Nmの最大トルクを実現しました。その結果、V8エンジンを搭載した初代RS 6は、セグメント最高のパワーを手に入れ、ライバルに鮮烈なメッセージを送りました。当時、ローレン アイエロが2002年のタイトルを獲得したチームABT SportslineのアウディのDTM(ドイツツーリングカー選手権)マシンの出力が同じ450PSであることを考えると、このエンジンの卓越したパワーを理解することができます。
ハイパワーには、適切な制御系を組み合わせる必要があります。マニュアルトランスミッションの時代は終焉を告げていました。この初代RS 6には、マニュアルトランスミッションを搭載したモデルよりも素早いシフトを実現した、トルクコンバーター式のトランスミッションが初めて搭載されました。5つの走行モードを備えたこのトランスミッションにより、0~100km/h加速4.7秒を実現しました。RS 6 AvantとSedanに、日常走行でもスポーティな走りと快適性の幅広いキャラクターを与えるため、アウディは新開発されたDRC(ダイナミックライドコントロール)サスペンションに注目しました。これまですべてのRS 6シリーズの開発を担当し、現在はネッカーズルムで技術開発統括責任者を務めているステファン レイルは、次のように要約しています。「DRCはストレートとコーナーの両方で、スポーティな走行時にロールとピッチを抑えます」。具体的には、タイヤのグリップを高め、特にスポーティなコーナリング時に俊敏なハンドリングを実現します。DRCは対角線上に2つの油圧ショックアブソーバーを備えたスチールスプリングで構成され、タイムラグなしにボディの動きを打ち消します。これは、電子的な制御なしに、機械的に行われます。クルマがコーナーに差し掛かると、ダンパーのレスポンスが変化し、縦軸(ロール)と横軸(ピッチ)に沿ってクルマの動きが大幅に抑制されます。
初代RS 6(C5)は、生産ラインと手作業の両方で製造されました。生産ラインで仕上がった車両は、走行することは可能でしたが、サスペンション、RS専用コンポーネント、独自の室内装飾エレメントといった要素を満たしていなかったので、生産ラインから出た後に、隣接するホールでさらに作業が行われました。このホールでquattro GmbHのエンジニアが15時間をかけて、各車両を個別に仕上げました。
初代RS 6は今日に至るまで、最初からレーシングカーの素性を備えた唯一のRS 6となっています。ランディ ポブストがステアリングを握り、Champion Racingチームが SPEED World Challenge GT 2003に参戦するために開発されたAudi RS 6 Competitionは、同等のカテゴリーのライバルを圧倒しました。このモデルのV8ツインターボエンジンは475PSを発生し、マニュアルトランスミッションと組み合わせられました。このクルマは、初戦で勝利を飾りました。
quattro GmbHは、初代RS 6シリーズの終盤に“plus”という名称のハイパワーバージョンを追加しました。最大トルクは560Nmのままでしたが、最高出力は450PSから480PSへと強化されました。その結果、最高速度も250km/hから280km/hへと引き上げられ、オプション設定されていた装備も標準となりました。
第2世代Audi RS 6(C6):エンジン構造における偉業を継承
初代RS 6の誕生から6年後の2008年、第2世代Audi RS 6が発表されました。アウディは、このモデルに、パワーや排気量だけでなく、シリンダー数も増やして10気筒エンジンを搭載しました。ツインターボチャージャーも引き続き装着され、排気量は5リッターへと拡大されました。これにより、最高出力は580PS、最大トルクは1,500rpmから650Nmを発生しました。その当時、その数値は、560PSの最高出力を誇っていたフラッグシップスーパースポーツAudi R8 GTさえも上回っていました。アウディは3年間にわたって、このV10エンジン搭載RS 6を製造しました。重量278kgのこのV10エンジンは、驚異的なパワーを誇り、高速でコーナリングする際に確実なオイルの潤滑を実現するため、ドライサンプに目を向けました。これはモータースポーツからフィードバックされたテクノロジーです。独立したオイルタンクを設置することにより、V10エンジンを車体の低い位置に搭載し、重心を低くすることが可能になりました。この潤滑システムはレース用に設計されたもので、縦方向および横方向の1.2Gの加速までオイルを供給しました。ステファン レイルは、アウディの開発者が、わずか1cmのスペースも無駄にすることなく、エンジンを設計していたことをよく覚えています。「2つのターボチャージャーとマニホールドを備えたV10エンジンは、まるで芸術作品のようでした。そして、それは極めてパワフルです。第2世代のRS 6は、他のどのモデルよりも、エンジンルームが緻密に配置・構成されていました」
初代RS 6と同様に、エンジンのパワーに対応できるトランスミッションも必要でした。採用された6速オートマチックトランスミッションは、そのニーズを満たすために大幅な改良が施されました。その結果、冷却性能、変速の速さ、パワー伝達のすべてが改善されました。このV10エンジンとトランスミッションの組み合わせにより、アウディは初めて300km/hを超える最高速度(具体的にはRS 6 plusの303km/h)を達成しました。標準のRS 6の最高速度は250km/hに電子的に制限されていましたが、オプションで280km/hに設定することが可能でした。第2世代RS 6の加速性能は、0~100km/h加速はセダン:4.5秒、Avant:4.6秒でした。これだけのハイパワーには、強力なブレーキが必要です。このダイナミックなクルマを確実に制動するため、初めてセラミックブレーキ(フロント:420mm、リヤ:356mm)がオプション設定されました。乗員がスポーティかつ快適に目的地まで到達できるようにするため、アウディは初代にRS 6同様DRCサスペンションを採用し、AvantとSedanに標準装備しました。あらゆる走行状況において快適性を維持するため、DRCサスペンションには、オプションで3段階に設定可能なショックアブソーバーが初めて搭載されました。
初代RS 6と同様、アウディはこのモデルに控えめなデザインを採用しましたが、全幅は標準モデル比で3.5cm拡大して1.89mに設定し、ベースモデルとは一線を画すオーバーフェンダーを装着することで、大径ホイールとタイヤ(19インチ:255/40、オプションの20インチ:275/35)を装着するためのスペースを確保しました。第2世代RS 6においても、生産ラインで完成した車両は、隣接するquattro GmbHホールに移動して、大規模な仕上げ作業が行われ、初代RS 6と同じように車両を完成させました。ライフサイクルの終盤には、Audi RS 6 plus SportおよびAudi RS 6 plus Audi Exclusiveの2つのモデルが追加され、合計500台の限定モデルがネッカーズルム工場から出荷されました。このモデルはインテリアにシリアルナンバー付きのバッジが装着され、5本スポークデザインの特殊合金ホイール、レザー張りのインストルメントパネル、RS 6ロゴが付いたフロアマットを装備していました。
第3世代Audi RS 6(C7):より少ないものからより豊かなものを作る
「シリンダー数が少なくなるとは、残念なことです。」アウディが第2世代RS 6で採用した10気筒エンジンを見送り、排気量4リッターのツインターボ8気筒エンジンを2013年に再び搭載したときに、お客様からの批判の1つです。このエンジンはRS 6史上最小のエンジンです。さらに、伝統的なRS 6 Sedanの生産も中止され、米国では、Audi RS 7 Sportbackが代わりに導入されました。しかしお客様は、すぐにこの批判を撤回することになりました。なぜなら、アウディは、ドライビングダイナミクスと効率の点で、以前のRS 6モデルをはるかに上回るパッケージングを開発したからです。このパッケージングにより、体系的な軽量化が可能になりました。特にすべての後付けパーツを含めて、アルミニウムを広範囲に使用することにより、第3世代RS 6の重量は120kgの軽量化を実現しました。同時にAvantモデルは、Audi A6も全幅が6cm拡大されました。また先代RS 6の前後重量配分は、フロントが60%でしたが、第3世代RS 6では55%に設定されました。これはフロント約100kgの重量減に相当します。さらにエンジンは約15cm後方に搭載されました。これにより、シリンダーが2つ少なくなり、パワーが20PS低下しても、パフォーマンスに全く影響がないことを証明しました。700Nmの最大トルクと新しい8速ティプトロニックを備えた第3世代RS 6 は、0~100km/hを3.9秒で加速しました。最高速度は305km/hに達しました。また軽量化だけでなく、エンジン負荷が軽い状態で8気筒のうち4気筒を休止するシステムを採用したことにより、先代モデルよりも燃料消費量が30%削減されました。また、最大の制動力を発揮し、ハードブレーキングを繰り返したときに、特に優れた性能を示すセラミックブレーキは、引き続き設定されました。
第3世代RS 6に採用された新しい機能として、快適性を求めるお客様のために、エアサスペンションが初めて標準装備されました。全高は20mm低くなり、よりスポーティなチューニングにより、このアダプティブエアサスペンションは日々の運転の楽しさを高めました。さらに、利便性を高めるため、初めてトレーラーヒッチがオプション設定されました。DRCサスペンションは、さらに完成度が高められました。その結果、第3世代RS 6は、駆動システム、サスペンション、快適性、効率など、あらゆる面で先代モデルを上回る性能を発揮しました。この世代のRS 6もネッカーズルムの生産ラインを出た後に、隣接するquattro GmbHホールで最終的な組み立てが行われました。
アウディは、長年にわたって4リッター8気筒エンジンを進化させ、さらに多くのパワーを引き出すことに成功しました。RS 6のパフォーマンスは初めて600PSを超え、605PSに達しました。オーバーブースト機能により、一時的に750Nmのトルクを利用可能となりました。
出力低下とシリンダー数の減少に関する初期の批判にもかかわらず、第3世代RS 6は、ハイパフォーマンス ステーションワゴン セグメントのベストセラーモデルとなり、マーケットリーダーとなりました。ベストセラーの座は、今日に至るまで維持され、世界中のお客様を魅了しました。伝統的にセダンが好まれていた米国市場への導入は、米国国内に一定の需要があったものの、次世代に延期されました。
第4世代 Audi RS 6(C8):過去最高のモデル、進化はまだ続く
2019年、Audi RS 6のヘリテージに忠実なモデル、第4世代RS 6が発表されました。4リッターの排気量、ツインターボチャージャー、600PS、そして800Nmに強化されたトルク。史上初めて、このクルマには48 Vマイルドハイブリッドシステムが搭載され、効率がさらに向上しました。RS 6 Avantは0~100km/hを3.6秒で加速し、200km/hにはわずか12秒で到達します。加速の素晴らしさにおいて、疑いの余地がなく、コーナリング性能の面においても、新たな基準を設定しています。
新しく採用された4輪操舵システムは、高速域では前輪と後輪が同じ方向に操舵することにより、高速安定性が向上しています。一方低速走行時には、前輪と後輪が逆方向に操舵するため、回転半径が小さくなり、駐車が容易になっています。しかし、手間のかからない車庫入れだけが、お客様にとって重要なことではありません。先代モデルと同様に、トレーラーヒッチも用意されています。ステファン レイルは、次のように説明しています。「現在、ヨーロッパのお客様の半数以上がトレーラーヒッチを注文しています。これは、お客様がスポーティなドライブだけでなく、日常的な使い勝手も重視していることを示しています」。アウディはお客様の要望に応え、現在はエアサスペンションとDRCサスペンションの両方をオプション設定としています。
デザインに関しては、初代から3世代目までのRS 6は、パワフルなステーションワゴンとしての位置付けでしたが、現在の第4世代RS 6は異なる印象を与えます。一般の人々でさえ、これは通常のA6ではないことをすぐに認識することができます。RS 6 AvantがA6 Avantのベースモデルと共有するのは、ルーフ、フロントドア、テールゲートだけで、他のコンポーネントはRS専用に変更され、全幅は大きく8cm拡大されました。さらに、専用のフロントフードが初めて採用されたことにより、RS 7と同様のレーザーライト付きマトリクスLEDヘッドライトを装着できるようになりました。大径ホイールと幅広タイヤも、スタイル上のポイントとなっています。21インチホイール(275/35)が標準装備され、さらに22インチホイール(285/30)がオプションとして初めて選択可能になりました。歴代モデルとは異なり、第4世代RS 6は生産ラインから出た後に、Audi Sport GmbHに名称変更される前の別のホールに移されることはありません。そのまま、ショールームに向かうことになりました。
これは、ネッカーズルムの生産ラインが、優れた柔軟性を備えていることを示しています。さらに、RS 6 Avantは初めて米国市場に導入され、第4世代Audi RS 6は、当初のニッチなモデルから、世界中で多くのお客さまに求められているクルマへと、そのサクセスストーリーを着実に進化させています。
※本リリースは、AUDI AG配信資料の翻訳版です。