- アウディ環境財団、プロジェクト第3段階スタート。スタートアップ Nunam とコラボレーション
- 女性をターゲットに開発:Rickshawは女性の社会進出を支援する安全な輸送手段
- 異文化交流の成果による、アウディのDNAを備えたインドのtuk-tuk(トゥクトゥク)
(ドイツ本国発表資料)
2022年6月15日、バンガロール/ネッカーズルム:アウディとドイツ・ベルリンとインド・バンガロールに拠点を置く非営利スタートアップ企業Nunamは、電気自動車用バッテリーの二次利用により、3台のe-rickshaw(イーリキシャー)を、インドの公道で走らせることを計画しています。これらの車両には、Audi e-tronのテスト車両から取り外された、使用済みバッテリーが電力を供給します。このプロジェクトの目的は、電気自動車の高電圧バッテリーモジュールを、ライフサイクル終了後に再利用して、実現可能な二次利用の方法を探ることです。またこのプロジェクトは、インド女性の雇用機会の創出を推進することも目的として、彼女たちに商品を輸送するためのe-rickshawが提供されます。このNunamには、アウディ環境財団から資金が提供されており、アウディ ネッカーズルム拠点の異文化交流の恩恵を受けているトレーニングチームと共同で、3台のプロトタイプを開発しました。これは、Nunam、AUDI AG、アウディ環境財団の3者による最初の共同プロジェクトです。
二次利用バッテリーから電力を供給されるe-rickshawは、2023年初頭に行われるこのプロジェクトで、初めてインドの公道を走行する予定です。このプロジェクトには、インドの非営利団体が協力します。特に女性は、e-rickshawを使用して、仲介業者を介さずに、商品を市場に輸送して販売することができます。e-rickshawは、Audi e-tronで一次利用が終了したバッテリーモジュールから電力が供給されます。Nunam共同創設者のプロディップ チャタジーは次のようにコメントしています。「古いバッテリーは、まだ非常にパワフルです。二次利用バッテリーは大きな可能性を秘めており、適切に使用すれば、完全に持続可能な方法で、困難な生活状況にある人々が収入を得て、経済的に自立するためのサポートをすることができます」
このスタートアップ企業の主な目標は、古いバッテリーを電力貯蔵システムとして二次利用する方法を研究することです。これによりバッテリーの寿命を延ばし、リソースをより効率的に使用することができます。
チャタジーは次のように説明しています。「電気自動車のバッテリーは、車両のライフサイクルに合わせて使用できるように設計されています。しかし、車両での使用が終了した後でも、まだ多くの電力を蓄えることができます。これらのバッテリーは、求められる航続距離が短く、電力要件が低く、軽量な車両であれば、依然として十分に活用することができます。セカンドライフ プロジェクトでは、電気自動車のバッテリーを別の電気自動車、言い換えればeモビリティ” lite(ライト)”の充電に再利用します。このようにして、異なるユースケースで、バッテリーをどの程度再利用できるのかを調べています」
電気・電子機器廃棄物の再利用
31歳のチャタジーは、次のようにコメントしています。「二次利用バッテリーにとって、e-rickshawは理想的な環境を提供します。インドのrickshaw(リキシャー)は比較的軽量で、主に低速で短距離を走行するため、電気モーターは特に強力である必要はありません。e-rickshawは、インドをはじめとする周辺諸国ではよく利用されています。これらの車両には比較的耐用年数が短い鉛蓄電池が使用されていますが、その多くは適切に廃棄されていません。
また現在稼働しているe-rickshawは、石炭火力の割合が高いインドの公共電力網で充電されています。Nunamは、この問題に対する解決策も用意しています。Nunamが導入するe-rickshawは、ソーラー充電ステーションで充電されます。ソーラーパネルは、地域のパートナーの敷地の屋根に設置されています。日中は、太陽光が蓄電器として機能するAudi e-tronのバッテリーを充電します。そして夕方には、充電された電力をe-rickshawに供給します。この方法により、ほとんどカーボンフリーの走行が可能になります。つまり、e-rickshawは1日中利用可能で、夕方と夜間にはグリーン電力で充電することができます。年間を通して晴天の日が多いインドでは、屋根にソーラーパネルを設置すれば簡単に充電することができます。充電ステーションも社内で開発されました。
Nunamは、e-rickshawの性能と航続距離を継続的に注視しています。非営利スタートアップ企業であるNunamは、e-rickshawから収集したすべてのデータをオープンソースプラットフォームに公開して、同様のプロジェクトに活用できるようにしています。実際、プロジェクトを活用することは、Nunamによって奨励されています。アウディ環境財団ディレクターのリュディガー レクナゲルは、次のように述べています。「e-waste(電気・電子機器廃棄物)の新しいユースケースを見つけるには、Nunamが先鞭をつけた、このようなイニシアチブが必要です。これは、インドに限った話ではなく、世界中で必要です。そのため、Nunamは、環境社会革命を推進し、二次利用コンポーネントを活用した製品を開発するイニシアチブの動機付けとなる知識を公開しています」。アウディ環境財団は、2019年からNunamに資金を提供しています。
さらに、バッテリーの一次利用がAudi e-tronとともに終了し、二次利用がe-rickshawとともに終了した場合でも、それですべてが終わるわけではありません。次のステップでは、バッテリーの三次利用として、LED照明などの固定アプリケーションに使用できる可能性があります。Nunam共同創設者のプロディップ チャタジーは、次のように語っています。「私たちはバッテリーをリサイクルする前に、すべての可能性を引き出したいと考えています」
長期的には、eモビリティおよび太陽エネルギーは、インドにおける石炭をはじめとする化石燃料への依存を減らし、インドの道路で排気ガスを大幅に削減し、人々に信頼できる電力供給するのに役立ちます。アウディ環境財団ディレクターのリュディガー レクナゲルは、次のようにコメントしています。「多くの点で、このプロジェクトは私たちが進むべき道を示しています」
早期トレーニングによる持続可能性に対する高い意識の定着
インドの公道での利用を目的としたe-rickshaw(イー リキシャー)に加え、アウディ ネッカーズルム拠点の研修生は、Nunamと協力して、展覧会などで使用するためのshow rickshaw(ショー リキシャー)も開発しています。6月22日からベルリンで開催される GREENTECH FESTIVAL(グリーンテック フェスティバル)の来場者は、show rickshawを会場で見るとともに、試乗も可能です。この車両の開発には、AUDI AG ネッカーズルムの自動車エンジニアリング / ロジスティクストレーニング 責任者 ティモ エングラー率いる12人の優秀な研修生チームが重要な役割を果たしています。エングラーは、次のように語っています。「研修生とNunamは常に連絡を取り合っています。ネッカーズルムとバンガロール間には専用回線が設置されています。show rickshawを製作する際、私たちの研修生は航続距離、充電時間、設計に焦点を当てています。その結果、アウディのDNAを備えたrickshawが完成しました。私たちにとって、アウディの研修生が最初から最後までプロジェクトに関与し、彼らのアイデアを自由に試す機会が与えられることが重要です。“実践による学習”が、なにより成功の秘訣です。これによって、eモビリティ、資源効率、充電技術の開発に関する基本的な知識を、楽しみながら自然に身につけることができるのです。これは、持続可能性、eモビリティ、国際化、社会的責任といった現代のメガトレンドがすべて含まれているため、非常に画期的なプロジェクトです」
アウディの研修生は、従来の内燃エンジンを電気モーターに変換し、二次利用バッテリーと防滴性を考慮しながらフロア下の構造を設計し、可能な限り多くのリサイクル可能な素材を採用しました。このプロジェクトには、メカトロニクス技術者、車体設計者、塗装工、ツールメカニクス、ITスペシャリスト、自動化技術者のすべてが参加しました。リュディガー レクナゲルは、次のように述べています。「私たちは、アウディ環境財団ネットワークを通じて、国際的なプロジェクトに研修生が参加する機会を提供できたことを大変嬉しく思っています。これにより、ノウハウとテクノロジーの異文化交流を促進し、両者が大きな恩恵を得ることが可能になります」
※本リリースは、AUDI AG配信資料の翻訳版です。