● 建築分野のドイツでもっとも価値ある賞がボストン / ワシントンの大都市圏における「新しいアメリカンドリーム」の提案に授与
● AUDI AG会長ルパート シュタートラー:「ヘヴェラー + ユーン アーキテクチャの提案から、私たちは未来の都市のための様々な要求を引き出すことができる」
● 授賞式の会場は第1回イスタンブール デザイン ビエンナーレ
アウディ アーバン フューチャー アワード2012は、ボストン / ワシントンの巨大都市圏における現代的な都市工学のコンセプトを提案した米国の建築事務所、ヘヴェラー + ユーン アーキテクチャに授与されることになりました。「シェアウェイ」という野心的なプランニングおよび建築上のアイデアにより、この米国の建築チームは、住居と職場のあいだの移動手段に革命をもたらしました。彼らのアイデアの基本は、新しい種類のモビリティプラットフォームによって、個人と公共の交通手段を融合することにあります。それにより、既存のインフラが、交通とネットワークのインテリジェントなフローに、結び付けられていくのです。交通システムを全体としてコントロールしていこうというこのアイデアにより、ヘヴェラー + ユーン アーキテクチャは、10万ユーロの賞金を授与されることになりました。
学際的な構成による審査委員会の会長を務めたデザイン理論の専門家であるジョン・サッカラは、次にように選考の理由を説明しています。「ヘヴェラー + ユーン アーキテクチャの提案は、今回のコンペティションの課題に対するもっとも包括的な解決策であるとともに、コンペティションで規定された2030年までのタイムフレームのなかで、少なくとも部分的には実現可能であると判断されました。またこの提案は、社会的、経済的な状況に対する徹底したリサーチに基づいています。社会と技術の面での革新が体系的に触れられており、建築としても、非常に質の高い仕上がりになっています。」
「受賞した提案は、未来の都市において何が求められるか、見事に視覚化しています。過密化の問題を解決するために、大都市の整備計画もしくは再開発をどのように行っていくべきか、そのための指針が満載されているといってもいいでしょう」と、AUDI AGの取締役会会長のルパート シュタートラーは述べています。
アウディ アーバン フューチャー アワードは、将来の都市のあり方についての研究や考察に貢献する目的で始められました。「未来において、個人のモビリティはどのような形で可能なのか?」。その問いに対する答えは、都市開発のプランの中にしか見出せないからです。アウディは、明日の社会づくりに積極的に参画するためには、世界中で進められている都市計画の主要なパターンと、それと未来のモビリティとの関係を、まず理解しなければならないと考えています。
ヘヴェラー + ユーン アーキテクチャ、ボストン / ワシントン:
それ自身により再生された「アメリカンドリーム」
このボストン / ワシントンの設計プランにおける「新しいアメリカンドリーム」は、新しい社会的コンセンサスの上に成り立っています。ここで焦点が置かれているのはコミュニティであり、所有することよりも分かち合うことが重要とされます。この提案のなかでキーとなっているのは、あらゆる交通機関を再編成してそれらをひとつに束ね、高度な技術を駆使して最適化され、常時流れるように制御された、クルマやほかの交通機関のための動脈を生み出していこうというアイデアです。「バンドル(束)」と呼ばれるその動脈がボストン地域からワシントン地域まで走り、市街と郊外を効率的に結んで、潜在的には人口5,300万人以上にも達する巨大都市圏を形成していくのです。
より詳しい情報については、MOOOVE.com
http://mooove.com/on-hoeweler-yoon-architectureにアクセスください。
ヘヴェラー + ユーン アーキテクチャは、次のようにコメントしています。「賞に選ばれたことに非常に興奮しています。2030年におけるモビリティのあり方を考察するという興味深いテーマを与えてくれたアウディおよびスタイルパークに心から感謝します。この種の試みは、都市工学から建築、自動車デザインまで、分野を超えて議論に影響を与えていくような素晴らしいアイデアを生み出す可能性があります。それらはすべて環境に関わる仕事であり、私たちが設計業務の対象とみなしているものの一部でもあります。いずれにせよ、今回のコンペに参加することができて、非常に光栄でした。」
ドイツでもっとも価値あるこの建築のコンペは、アウディが2010年に続いて2度目に主催したものですが、受賞者のヘヴェラー + ユーン アーキテクチャの他にも世界から4つの設計チームが参加して、それぞれの地元の巨大都市圏についての未来プランを披露しました。それはCRIT(インドのムンバイ)、NODEアーキテクチャ&アーバニズム(中国の珠江デルタ)、スーパープール(トルコのイスタンブール)、アーバンシンクタンク(ブラジルのサンパウロ)の4つの設計チームです。
コンペの参加者たちが提示したのは、それぞれまったく異なる地域の未来像ですが、それでもそのなかから、未来のモビリティについて、幅広く適用可能な幾つかの洞察を導き出すことが可能です。
● 巨大都市ではスペースがもっとも不足している資源のひとつになります。自動車はそれを効率的に使うことを学ばなければなりません。
● 巨大都市圏では住空間は次第に高価なものになっていき、人々が自動車を所有するために使える不可分所得の割合は減っていきます。
● 都市空間ではデジタル革命が席巻しつつあります。自動車はインターフェイスとして新しい役割を担っていくかもしれません。
● インターモーダルモビリティと呼ばれる異なる交通手段間の境目のない移行が、持続可能なモビリティのベースとなります。
審査委員会と賞の発表
審査委員会は10月18日の朝、イスタンブールのハスキョイ紡績工場で開催されました。今回審査委員を務めたのは、建築家でロヘリオ サルモラ基金の創立者であるディアナ バルコ(コロンビア)、キュレーターでスタイルパークAGの取締役でもあるクリスティアン ゲルトナー(ドイツ)、ネットワークデザイナーでアーバンスケールの創立者でもあるアダム グリーンフィールド(米国)、セルコ ソーラー インディアの創立者で取締役を務めるハリシュ ハンデ(インド)、ジャーナリストでスタジオ in + of アーキテクチャの創立者であるワン ルー(中国)、建築家で2010年のアウディ アーバン フューチャー アワードを受賞したJ.MAYER H. アーキテクツの創立者であるユルゲン マイヤー H(ドイツ)、AUDI AGの取締役会会長のルパート シュタートラー、デザイン理論の専門家でドアーズ オブ パーセプションのディレクターを務めるジョン・サッカラ(イギリス)、映画製作者のイエシム ウスタオグル(トルコ)の各氏です。
活発な議論が戦わされたなかで、彼ら各界の専門家たちをもっとも唸らせたのは、ヘヴェラー + ユーン アーキテクチャからの提案でした。しかしながら、他の4つの設計チームによるプランにも、巨大都市における未来のモビリティをどのように考えていくべきかという課題に対する、示唆に富むアプローチが含まれていました。なお、この件に関するさらに詳しい情報が、MOOOVE.comのウェブサイトで紹介されています。
(本件はAUDI AG発行リリースの日本語翻訳版です。)