アウディAGは、2008年ロサンゼルスオートショー(2008年11月19日~30日)のデザインコンペティションイベント 「デザインチャレンジ モータースポーツ 2025 」に参加します。2025年のレーシングカーをテーマとしたデザインチャレンジにおいて、アウディの考える先進的なレーシングカー「R25」のコンセプトを紹介します。
「デザインチャレンジ モータースポーツ 2025」は、自動車が発明されて以来、世界中の自動車文化に影響を与え続けてきたレースをインスピレーションの源、または参考として、既存のジャンル(オープンホイール、スポーツカー、デザート、ドラッグ、ラリー、ストックカーといったレースカテゴリー)の精神を体現するのみならず、将来のモータースポーツのあり方を示唆する「2025年のレースカー」のデザインを各社が競うイベントです。参加するデザインは、モータースポーツにおける歴史的デザインの解釈、革新的技術の採用、環境への配慮と大胆なデザインの両立、現実的でありつつ未来志向のコンセプトを基準に評価されます。
アウディデザインセンターカリフォルニアのチームは、このテーマに対し、2025年アメリカン・ルマン・シリーズロサンゼルスラウンドにおけるプロトタイプクラスの最新世代レースカーをイメージして、R25のコンセプトを作り上げました。このチームの考える2025年のアメリカン・ルマン・シリーズロサンゼルスラウンドには以下のような革新的な変化が盛り込まれています。
1. サーキットには高速バンクやトンネルが設置され、ダウンフォースの強い車は「裏返し」で走行することもできます。
2. トンネルと高いバンクの頂点部は、「WiTricity」と呼ばれるワイヤレス充電ゾーンとなっており、走行中に燃料補充が可能です。
3. サーキット内で使用されるエネルギーは、すべて微細な藻類によって現地で生成されたものを使用します。すなわち、発酵作用によって生み出される再生可能なバイオディーゼル燃料と、太陽光による生化学反応によって発生した水素を燃料電池に使って生み出される電力です。
4. 従来型のグランドスタンドによる観戦ばかりではありません。ファンの人々はレースに参戦する全車両に搭載されたカメラがWi-Fi送信してくる映像を見て、コックピットに座るような疑似体験もできます。
5. 車両テレマチックスとトランスミッションの進化により、観客は自分が選んだ車の動きや加速度を(フライトシミュレーターのように)リアルタイムで、実際の映像とともに体感することができます。
アウディR25 (デザイン コンセプト)
このような革新的なレース様式トに対応するため、新型アウディR25は最新技術を盛り込んでゼロからデザインされました。
1. シャシー2016年にコンセプトとして発表される新世代のモジュラーモノコック/アウディDSF(ダイナミックスペースフレーム=アウディスペースフレーム技術の進化形)は、ラピッドプロトタイピング(高速試作)技術にも似た革新的な生産技術を採用し、柔軟性、構造体と電子回路の統合、強度(つまり安全性)を高い水準で実現しています。
2. パワートレイン
A) LMP1:長距離航続のために微細藻類由来のバイオ燃料を使う小型TDIと、ワイヤレスパワートランスファー技術を採用して追い越し時に爆発的な加速を生む電気モーター/キャパシターを組み合わせます。
B) LMP-GC(グリーンチャレンジ):ワイヤレスパワートランスファー技術により継続的にエネルギー供給を受ける電気モーターのみを採用。キャパシターを搭載し、中断のない管理されたパワーフローを実現しています。車両重量も、大幅な軽量化を実現します。
3. デザイン「形状は機能に準ずる」というアウディの哲学を忠実に踏襲するこれらの最新レースカーは、先端技術と効率的な形状管理を組み合わせ、統一された言語を生み出しています。意志力を感じさせるスタンス、俊敏さに富んだジオメトリー、入念に管理されたディテールなどは偶然の産物ではありません。アウディの過去に誇り高くも敬意を表するキャラクターを備えた車ですが、まったく斬新。ファッションのために取り付けられた装備やパーツはいっさい存在しない、アウディデザインによるサラブレッドです。
4. 空力面アクティブマイクロコントロールサーフェイスを採用。ドライバーが主体的に、また車載されたマイクロプロセッサーが自動的に、レース中のエアフローを最適化することができます。すなわち、高速走行時には抵抗を抑え、コーナリング時や裏返し走行時にはダウンフォースを発生させる設定に変えることが可能なのです。
5. MMI (マンマシンインターフェイス) 車両からアウトプットされる情報の大半は、ヘッドアップディスプレイとして使用されるドライバーのヘルメットに転送されます。また、触覚テクノロジーを通じ、車両の状況がレーシングスーツを介してドライバーに伝えられます。
6. 安全性ダイナミックスペースフレームの超高強度構造に加え、ダイナミックセンサーが車両の挙動と周辺状況をつねに監視して、ドライバーとピットクルーに前方の事故を警告し、衝突事故防止のため必要に応じて介入します。これは、飛行機に採用されている衝突防止システムにも似たものです。
7. コミュニケーションリアルタイムのデータリンク能力を備えた車載型HDカメラとモーションセンサーが、コントロールセンターとVRブロードキャスターを対象に絶え間なく情報を送信します。
プロデュース: アウディデザインセンターカリフォルニア
クラウス・ポトホフ(エグゼクティブデザインディレクター)
ヘンドリック・フェルトマン(ジェネラルマネージャー)
ジェー・ミン(チーフデザイナー)
コンセプト&アート: クレイグ・ダーフィ(シニアデザインアドバイザー)
ラウル・セナン(デザイナー)
テーホー・キム(デザイナー)
コンセプト協力&編集: トミー・リン(アウディアドバンストプロダクトプランニング)
ナンシー・ホルマン(デザイナー)
アレックス・マルツォ(デザインインターン)
※ R25は「デザインチャレンジ モータースポーツ 2025」のために考案されたデザイン案であり、本プレスリリースで紹介されている技術や開発予定は架空のものです。写真は、Audi Japan Press Center (http://www.audi.co.jp/audi/jp/jp2/press_center.html)よりダウンロードが可能です。Audi Japan Press CenterへはIDならびにパスワードが必要となります。