2023/10/24Company

Audi Designマーク リヒテ インタビュー:「スポーティなクルマとは、アドレナリンが形になったもの」

  • Audi Design統括責任者がAudi Sport GmbHの40年を振り返る
  • 未来のRSモデルを形作るパフォーマンス、美しさ、機能性とは
  • 大幅に刷新されたインテリアは、今後登場するハイパフォーマンスカーにも採用される予定

(ドイツ本国発表資料)2023年10月16日、インゴルシュタット/ネッカーズルム:Audi RSモデルは、その高度なテクノロジーと洗練されたスタイルにより、アウディファンを魅了してきました。Audi Sport GmbHの40周年を記念して、Audi Design統括責任者 マーク リヒテが、アウディの伝統であり、インスピレーションの源となっている「革新」について語りました。


Audi Sport GmbHは設立40周年を迎え、長きに渡りRSモデルはファンを魅了してきました。特にお気に入りのモデルは?
マーク リヒテ(以下、リヒテ):デザイナーとして、またパフォーマンス愛好家として、私はRSモデルの大ファンです。TT RSは、私にとって常に特別なモデルの1台であり、市販されたTTと同様に、TT RSは、バウハウス アートスクールのアイデアを初めて世に送り出したモデルだからです。less is more(レス・イズ・モア)という言葉は、まさにそのデザインに当てはまりますが、クルマを運転することによって得られるエモーショナルな感覚や悦びには当てはまりません。この要素に関しては、独自のサウンドを奏でる5気筒エンジンがその役割を果たしています。また、チームと共に開発した、現行モデルのAudi RS 6 Avantも忘れられない経験となりました。その当時、私たちはquattroの原点を、妥協することなく、このモデルのディテールやラインに刻み込みました。現在でも、路上でRS 6を見るたびに、私たちが当時のコンセプトを、いかに一貫して追求していたかを思い出して、嬉しくなります。

すべてのRSモデルに共通するものは何ですか?
リヒテ:私が徹底的にこだわっている点は、初代quattroやSport quattroに代表されるアウディのレジェンドモデルのフォルム、つまり、筋肉質なボディ、ブリスターフェンダー、非常に幅広いフェンダーフレアが、すべて現行モデルに受け継がれていることです。この点に関して、私は実現できていると確信していますし、今後のすべてのRSモデルにも継承していく予定です。RSデザインは、アウディのDNAに深く根付いているため、その本質を妥協することなく、新たなデザインの可能性を探っていきたいと思っています。

Audi Sport成功の遺伝子は、レースから生まれました。その特徴は、スポーティなキャラクター、最先端のテクノロジー、そしてエモーショナルなデザインです。パフォーマンスカーに対するあなたの情熱はどこから来るのでしょうか?
リヒテ:クルマが情熱とどれほど密接に関係しているかは、私がまだ若い頃に父から学んだことです。1970年代、父は隔週でヒルクライムレースに参戦していました。レースの週末を迎えると、まるで今まさにスタートラインに着いてグリーンライトが点灯するような、ワクワク感が家の中に溢れていました。それ以来、私にとってスポーティなクルマとは、このワクワクするような期待と興奮、そしてアドレナリンを型に流し込んで成形したようなクルマを思い描くようになりました。

アウディの自動車デザイナーになりたいと思ったきっかけは、Audi Sport quattroだと聞きました。
リヒテ:はい、その通りです。1983年のフランクフルト国際モーターショーで、Audi Sport quattroは、他のどのクルマよりも飛びぬけて目立っていました。そのデザインは、これまで見てきたクルマとはまったく異なっていました。このクルマには、幅広いボディワークやブリスターフェンダーなど、数多くの個性に溢れていました。そして、その一貫したコンセプトに感動しました!このような方法で自動車のスポーティさを表現し、そのスタイリングでテクノロジーを誰もが外から想像できるようにし、その結果として、そのコンセプトを誰もが即座に理解できるようにするというアイデアは素晴しいと思いました。そのアイデアは私に大きなインスピレーションを与え、まだモーターショーのブースにいる間に、将来はアウディのデザイナーになると決心しました。それはちょうど40年前のことでした。私にとって、そのアイコンモデルのスタイルエレメント(表情豊かなCピラー、特徴的なエアスクープ、ボディ全体で表現されているアウディの先進性)は、今日に至るまで、私が仕事をする上で常に念頭に置いている要素であり、それによって大きな成果を収めてきました。

革新が伝統に変わるとき、そのストーリーは成功するということでしょうか?
リヒテ:その通りです!現在、私のデスクの目の前には、Sport quattroとRS e-tron GTが横に並べて置かれています。RS e-tron GTには、私とチームがデザインプロセスでSport quattroから取り入れた数多くの要素が含まれています。この電動グランツーリスモは、アウディの歴史と強いつながりを持っています。私にとってその象徴は、40年前に初めて見たAudi Sport quattroであり、RS e-tron GTは、そのコンセプトを新しい電動化の時代へと移行したものです。したがって、伝統は未来への重要な推進力となります。

未来に正確に焦点を当てることに関して、お客様は、Audi Sport GmbHにより今後開発される車両が、どのようなデザインになることを望んでいると思いますか?
リヒテ:将来的には、電気自動車用のPPE(プレミアム プラットフォーム エレクトリック)と、従来型のパワートレインを搭載した車両用のPPC(プレミアム プラットフォーム コンバスション)の2つのプラットフォームを主に使用して車両を生産する予定です。その上で、今後のRSモデルの開発をどのように進めていくかを慎重に検討しています。その点で私たちが自問した主な内容は、内燃エンジンから電動化時代に至るまで、お客様がこれまで望み、高く評価してきたRSの遺伝子をどのように継承し、少なくとも同等の、あるいはまったく新しい情熱をお客様にもたらすことができるかということでした。

その答えは?
リヒテ:今後もお客様は、RSモデルが常に高い機能性を備えながらも、圧倒的なパフォーマンスを発揮することを求め続けるでしょう。リサーチでも、お客様やファンの方々からそのようなフィードバックをいただいています。それは優れたデザインの鉄則でもありますので、とても理解できます。美しいフォルムには機能性が求められ、そうでなければすべてがつまらないものになってしまいます。しかし、幅広いトレッドは、これまでも、そしてこれからもアウディのお客様にとって最も重要な特徴であり続けるでしょう。つまり、ベースモデルとは一線を画す精悍なルックスです。そして、今後はそれぞれのベースモデルとの差別化がさらに進むでしょう。パフォーマンスの向上はもちろんですが、ベースモデルとの差別化は、開発において最も重視しています。

これらの視覚的な差別化は、あなたが推進し実現させてきた時代を超越したデザインを体現するものですか?
リヒテ:私にとって、時代を超越したデザインは常に基本であり、最高の目標です。まさにそれを実現したのがTT RSでした。徹底的に無駄を排することにより、このモデルはここ10数年でアウディを象徴するアイコンモデルになりました。すべてのラインに目的があれば、デザイナーとしての仕事は完了したことになります。特に最もスポーティなアウディは、その先進性と現代性とともに、時代を超越した雰囲気を醸し出す必要があります。なぜなら、それを通じて私たちは末永く、そして広く一般に愛されるクルマを生み出すことができるからです。私が目指しているものは、すべてのRSモデルが、純粋に美しいだけでなく、生活のあらゆる状況や環境に適合するものでなければならないということです。

モダンなデザインと、時が過ぎても古典的な美しさを保つスタイリングの間の、この一見矛盾する要素をどのように克服することができるのでしょうか?
リヒテ:それは、どの業界にいるのかに関係なく、デザイナーとして取り組むべき最大の課題だと言えるでしょう。RSモデルのデザインでそれを達成する1つの方法は、幅広いトレッドと大径ホイールを組み合わせることにより、素晴らしいプロポーションを生み出すことです。さらに、ボディパネルには一切のギミックがなく、すべてのラインに意味のある機能が備わっていることです。この点に関しては、将来のRSモデルでは、無駄なラインがさらに削ぎ落されることになるでしょう。

将来、より広範囲な電動化RSモデルの開発において、エアロダイナミクスをさらに最適化することが重要になると思います。それによって、デザインプロセスはどれくらい変化するでしょうか?
リヒテ:Audi RS e-tron GTのデザインプロセスがその答えです。私たちは、文字通り風洞の中でこのクルマを形作りました。そのデザインプロセスにおいて、私は4つの二次元ドラフトバージョンを選択し、チームに「これらを風洞実験室に持ち込み、最も優れた抗力係数を持つバージョンを製品化する」と伝えました。電動パフォーマンスカーの航続距離は、お客様にとって決定的に重要な基準であるため、私たちはまさにそれを行いました。バッテリーを大きくすることもできますが、その結果、車体が重くなり、パフォーマンスに悪影響を及ぼします。したがって、より長い航続距離を実現するため、より効率的なエアロダイナミクスを実現することが解決策となります。それを達成するために、私たちは改善の余地がなくなるまで、空力の専門家と共に微調整を続けました。それは、徹底した機能性への徹底的なこだわりと言えるでしょう。

アウディの新しいデザイン哲学は、車両を外側から内側に向かって設計するのではなく、内側から外側に向かって設計することを求めています。これは約130年間にわたり、自動車工学において一般的な手法でした。この哲学は、Audi Sport GmbHの将来のモデルにどの程度反映されますか?
リヒテ:私たちは、最初のスケッチを作成する前に、お客様はそのクルマで、そしてその中で、何をしたいと思っているのかを自問しています。インテリアを焦点として理解することで、まったく新しいプロセスが形成され、そのプロセスはもちろんRSモデルにも完全に適用されます。私たちは、すでに新しいRSのインテリアの製作に具体的に取り組んでいますが、それは今日人々が慣れ親しんでいる内燃エンジンを搭載したRSモデルとは根本的に異なっています。言い換えれば、ドライバーがどのようにシートに座るのか、シートがどのように見えるのか、そして全体の雰囲気がどのように認識されるのかということです。インテリアには、新しく個性豊かなRSの世界が広がります。ちなみに、このRSのインテリアは、この未来のモデルのベース車両のインテリアコンセプトが決まる前からデザインしていました。

インテリアにおいても、持続可能性がますます重要な役割を果たしています。
リヒテ:私にとって、持続可能性は、主に無駄を排した結果です。将来的には、インテリアは明確に無駄を削ぎ落し、部分的にリサイクル素材が使用され、そのスタイリングは最高の品質と温かい雰囲気を生み出すでしょう。一言で言えば、私たちはその空間をゼロから再考しています。

ヨットに情熱を傾けるあなたに向けた個人的な質問です。将来的に、高性能ヨットの数々のデザインコンセプトを、ハイパフォーマンスカーに移行することはできるでしょうか?
リヒテ:私はカーボンマスト、カーボンラダー、カーボンセイルを備えたパフォーマンスボートを所有しています。もう私の言いたいことはお分かりでしょう(笑)。アウディのRSモデルでは、エクステリアの軽量デザインや、インテリア素材など、カーボンを採用することも重要なテーマとなっています。航海中にアイデアを生み出し、それを可能な限りアウディの新しいデザインに反映させます。水上では、旅の哲学が異なります。目的地がどれほど魅力的であっても、焦点は旅そのものにあります。問題は、それを道路にどのように適用できるのかということです。私にとって、クルマは視覚的に非常に魅力的で、運転中にワクワクするものでなければならず、目的地に到着するという側面はほぼ2次的なものになっています。その想いを形にしてお客様にお届けしたいと思っています。

※本リリースは、AUDI AG配信資料の翻訳版です。

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