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2017/03/24Technology

ENCOUNTER 01/2017 「GIVE ME FIVE」

[CONTENTS-2]

"GIVE ME FIVE"

TEXT
Verena Väth

PHOTOS
Bernhard Huber

「5気筒エンジンの40年史」

アウディの5気筒エンジンは、国際的なエンジン・ジャーナリストにより、7年連続で「エンジン・オブ ・ザ・イヤー」に選出されています。独特のサウンドを奏でる直列5気筒エンジンは、1976年に初めて導入されて以来、アウディのDNAの重要な要素であり続けてきました。現在では、その5世代目にあたるユニットが世界中の自動車ファンのスポーツ・スピリットを刺激しています。本項では最初のエンジンと最新世代の開発を担当したエンジニアが集まり、アウディ5気筒エンジン40年の歴史のなかで、変わらなかったいくつかの点、そして変わった多くの点について意見を交わしました。

力強く深みのあるサウンドこそ、アドレナリンを湧き出させる源です。ボンネットの下では、シリンダーのなかを5つのピストンが上下し、1-2-4-5-3の点火順を持つエンジン特有のサウンドを発してます。これこそが、いまやアイコンとなっているアウディ5気筒エンジンの歌声なのです。

比類なきサウンド

「特有の点火パターンから、この5気筒エンジンはきわめてエモショーナルなキャラクターを備えており、その独自性がアウディにとってかけがえのない存在になっています。ここで注目すべきは、40年以上に渡って、サウンドがほとんど変わっていないことです。エンジンそのものがサウンドを発するという基本原則も同じです。」と5気筒エンジン開発のチーフエンジニアであるシュテファン・デングラーは、語ります。エンジンが始動したとたん、鳴り始める賑やかな音は「5」というマジックナンバーから生み出されています。エキゾースト・システムから発せられる音も含めて、そこに何らかのサウンドを人工的に生み出そうという意図はまったく存在しません。

第1世代の5気筒エンジンを開発したエンジニアたちにとって、この特有の咆哮は偶然の産物でした。1970年代に最初の5気筒ユニットの開発を担当した元エンジン設計者のピーター・ライトナーも次のように認めています。「サウンドについては何の考えも持っていませんでしたし、最初のうちは5気筒エンジン特有の音に親しみを持てませんでした。それが後にセールスポイントになるとは、開発スタッフも予想していなかったのです。」

“ここで注目すべきは、40年以上に渡って、サウンドがほとんど変わっていないことです。エンジンそのものがサウンドを発するという基本原則も同じです。” シュテファン・デングラー 5気筒エンジン開発担当チーフエンジニア

直列5気筒エンジンは、quattroフルタイム4WDシステムとともに、アウディのイメージを一新する役割を果たしました。「1970年代において、アウディの名は伝統主義や中庸といったイメージと結びついていました。テクノロジーを
新しいデザインと融合させ、モータースポーツで歴史的な成功を収めた初代quattroは、そうしたイメージの変化に決定的なインパクトを与えました。」とライトナーは説明しています。「以来、アウディは先進テクノロジーの代名詞となったのです。」

チャレンジングな開発

2013年にデングラー、Audi Sport GmbH、そしてアウディ本社のエンジン開発部で働く約50人のエキスパートから構成されるチームは、先任者からきわめて難しい技術課題を引き継ぎました。開発目標がもはやチャレンジングというレベルをはるかに超えていたのです。新エンジンでは、パワーを増強しつつ燃料消費量とエミッションを削減し、さらにサイズをコンパクトにすることが求められました。「我々は途方もない課題を負わされたのです。最初は相容れない目標なのではないかと思われました。パワーを増強すれば、パーツにかかる負荷は大きくなります。にも関わらず、重量を軽く設計しなければならないのですから。しかし我々は、長い間あれこれ悩み抜いた末に、ようやく最適なバランスを見つけ出すことができました。」とデングラーは語っています。

完成したエンジンを見れば、彼らの努力が実を結んだことは明らかです。新たな直列5気筒エンジンは、従来のユニットと比べて、同じ排気量で17パーセントも高いパワーを発揮。燃料消費量ではNEDC走行モードで100km走行あたり0.3ℓも削減し、さらに重量は26kgも軽くなっています。そして294kW(400hp)の強大なパワーにより、TT RS Coupeを0~100km/hまでわずか3.7秒で加速させることができます。

テクノロジーアイコンの誕生秘話

今日、すべての部品は、細部に至るまでコンピューターによって最適化されています。しかしデングラーに先立つ1970年代のエンジニアたちは、かなり違った苦労を重ねていました。ライトナーは次のように語っています。「5気筒エンジンについて、わたしたちには何の経験もありませんでした。それでも第2世代のAudi 100のために、100kW(136hp)を発揮するユニットを完成させる必要がありました。大変な仕事でした。」アウディは、5気筒のガソリンエンジンを実用化した最初の自動車メーカーでしたから、担当エンジニアはもちろん会社自体に経験がなかったのです。

“私たちには、5気筒エンジンについて何の経験もありませんでした。それでも第2世代のAudi 100のために、100kW(136hp)を発揮するユニットを完成させる必要がありました。大変な仕事でした。”
ピーター・ライトナー 元エンジン設計者

自動車業界においてプレミアムブランドの仲間入りをしたいと考えていたアウディにとって、5気筒エンジンの開発は必要不可欠なステップでした。すでにライバルメーカーのクルマには6気筒ユニットが搭載されていました が、アウディにとってはサイズや重量配分の問題から困難な選択肢であると判断されました。そこでフェルディナント・ピエヒにより、最終的に5気筒エンジンのアイデアが採択されることになったのです。

CAD vs 製図板

当時の開発エンジニアは、現在とはまったく異なる作業環境にも苦労させられていました。デングラーは「今日のエンジン開発は、主にコンピューターやCADによって行われます。実際にエンジンを組み立てる前に、コンピューター上でシミュレートし、様々な角度から設計を眺め、いろいろな可能性を検討することができます。」と話します。しかし、40年前にピーター・ライトナーが最初の5気筒エンジンを設計した当時は、ポケット計算機を片手に製図板を使って仕事をしなければなりませんでした。

「素材の選択から、剛性、熱の拡散といったことについて、数多くの想像を巡らせ、トライ&エラーをひたすら繰り返して作業を進めていきました。」「ひとつひとつの部品を設計するのが大仕事でした。頭で期待したことが、実際にはなかなか実現しませんでした。そうした苦労を表に出すことはありませんでしたけどね。」とライトナーは笑ってコメントしています。

“TT RSというトップパフォーマンスモデルにより、私たちは5気筒エンジンによるモータースポーツの伝統を守っています。物語はまだ続いているのです。”
“その特有の作動パターンから、5気筒エンジンはきわめてエモーショナルなキャラクターを備え、その独自性はアウディにとってかけがえのない存在になっています。”
シュテファン・デングラー 5気筒エンジン 開発担当チーフエンジニア

伝統と進歩

長い年月を経て、開発の方法もエンジンそのものも大きく変わりました。しかしシリンダーの数、点火順のほかに、88mmというボアピッチ(各シリンダーの中心点間の距離)や、クランクシャフトが144度回る度に点火が行な われる仕組みなど、変わっていない点もいくつかあります。シュテファン・デングラーによれば、5気筒エンジンに関する考え方は、基本部分では変わっていないのだそうです。「我々はTT RSにおいて、アウディのラインナップ中もっともスポーティなモデルを開発したと信じています。(搭載しているのは)横置きエンジンのなかで、もっとも高性能なユニットですからね。2.5 TFSIは、初代quattroの偉大な遺産を継ぎ、モータースポーツにおける5気筒エンジンの伝統を今日につなげる役割を果たしています。物語は続いています。今後もさらに展開されていくでしょう。」

実際のところ、5気筒エンジンの物語は、TT RSで終わったわけではありません。2.5 TFSIは、新型のRS 3 Sedan/
RS 3 Sportbackにも搭載されています。今後も、5気筒エンジンならではのユニークなサウンドとともに、多くのファンを魅了することでしょう。

2.5 TFSIに採用された新技術の概要

最高出力:
開発エンジニアはパワーを向上させるため、主にターボチャージャーの改善に取り組みました。このターボチャージャー・ユニットは、旧エンジンのものと比べるとかなり大きくなっており、同時にコンプレッサーとタービンローターの
ジオメトリーを変更することで効率もより高くなっています。タービンの回転方向を変更することで、フローロスを削減すると同時に搭載スペースを削減することにも成功しました。

軽量設計:
素材に選択されたのは、アルミニウムとマグネシウムです。旧ユニットと比較すると、エンジン単体で26kgも軽く仕上がっており、TT RSの重量配分を改善することに貢献しています。

燃料消費量:
新しいエンジンは、燃焼プロセスの効率を高めると同時に温度管理も改善し、燃料の消費量をカットしています。また
ピストンとシリンダー内面との摩擦抵抗も削減しています。そのために各部品のジオメトリーを最適化するとともに、
シリンダー内壁にプラズマコーティングを施しています。

エミッション:
エミッション・レベルを下げるために、4気筒ユニットで既に導入されていたデュアル・インジェクションを、5気筒
エンジンにも採用することにしました。インテークポート内に燃料を噴射するマルチポイント・インジェクション(MPI)のエミッション面での利点と、燃焼室内に直接噴射するダイレクト・インジェクション(FSI)の性能・効率面での利点を融合したシステムです。

アウディの5気筒エンジンが搭載されたクルマの歴史の変遷についてはPDFをご参照ください。

※本資料は、Audi ENCOUNTER 01/2017 「GIVE ME FIVE」の翻訳版です
  原本URL: https://audi-illustrated.com/en/Dialoge-Das-Audi-Technologiemagazin-01-2017/Five-Konzert

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