close

2013/06/27Sustainability

世界初:Audi、power-to-gas精製設備が本格稼働

● ドイツ ヴェルルテのAudi e-gas精製工場で完成式典を開催
● グリーン電力、水、二酸化炭素と基に天然ガスに代わる環境に優しいAudi e-gasを精製
● Audi e-gasを使用したAudi A3 Sportback g-tronでCO2ニュートラルな走行が可能に
 
6月25日 インゴルシュタット / ヴェルルテ: アウディはAudi e-gas精製工場の稼動を開始し、再生可能エネルギーを自ら精製する世界初の自動車メーカーとなりました。工場ではグリーン電力、水、二酸化炭素を使用して、水素と化学合成メタンガス“Audi e-gas”を精製します。
 
工場完成式典では自動車生産部門の責任者・ハインツ ホラーウェガーが「アウディは本日、未来のモビリティに貢献する偉大なる一歩を踏み出しました。アウディは環境保護に向けた革新的な技術を本格運用する世界で初めての自動車メーカーとなり、化学合成技術の研究を重ねて環境に優しい燃料を生産することが、我々が推し進めるe-fuel戦略の中核となっています」と挨拶。続いて再生可能製品開発部門の責任者・レイナー マンゴールドが「このヴェルルテの地に建設したpower-to-gas生産設備は、我々が進めるエネルギー革命の指標であり、これまでの常識による限界点を遥かに凌ぐレベルに到達しました」と述べました。また式典に出席したドイツ連邦政府・環境、自然保護、原子力安全担当大臣のピーター アルトマイヤー氏からアウディの取り組みを高く評価する祝辞を頂きました。
 
Audi e-gasの精製工程は電気分解とメタン精製の2ステップ:
工場ではまず、グリーン電力を水と化学反応させることにより酸素と水素に分離します。ここで得られた水素は水素自動車に使用されます。しかし水素自動車の普及は未だ広範囲に達していないので、この過程で精製された水素の一部は次のプロセスでメタンガスに再精製されます。水素はCO2と化合され、Audi e-gas(化学合成メタンガス)に精製されます。こうして生産されたAudi e-gasは、化石燃料である天然ガスと成分がまったく変わらないため、ドイツ国内に巡らされた既存の天然ガス供給ネットワークを経由してCNGガスステーションに搬送されます。Audi e-gasの供給は2013年秋から開始される予定です。
 
Audi e-gas精製工場では年間およそ1,000tのe-gas精製に対し、約2,800tのCO2を使用します。このCO2の量は22万4,000本のブナの木が1年間かけて吸収する量に相当します。生産工程で生み出される副産物は水と酸素だけです。
 
Audi e-gas精製工場はEWE AGが所有する4,100㎡の敷地に、工場建設のスペシャリストETOGAS GmbHとプロジェクトパートナーMT-BioMethan GmbHとの共同事業として建設されました。完成した工場では、エネルギー消費を最少に抑えることが最優先されています。Audi e-gas精製過程で発生する廃熱は、隣接するバイオガス工場で再利用され全体でのエネルギー消費を抑えています。その一方、バイオガス工場からは同工場が排出する高濃度CO2が、Audi e-gas 精製に必要な原料として供給されます。こうすることによって環境への悪影響を最小限に抑えています。
 
ヴェルルテの工場が1年間に生み出すAudi e-gasは1,500台のAudi A3 Sportback g-tronに15,000kmのCO2ニュートラル走行を可能にさせます。このモデルは、天然ガス、バイオメタンガス、Audi e-gas (化学合成メタンガス)、ガソリンを燃料にすることが可能で、これらを組み合わせた最大航続可能距離は1,300kmに達します。
 
Audi A3 Sportback g-tronを購入されたお客様は、車輌購入時にAudi e-gasの事前購入をすることができます。お客様にエネルギー精製コストの一部を事前にご負担頂くことによって、Audi e-gas工場がCNGガスステーションを通じて構築する新しいエネルギーネットワークに参加できます。Audi e-gasご購入代金の精算はAudi e-gasカードで行います。
 
Audi A3 Sportback g-tronは今年の年末に発売される予定です(日本市場への導入は未定)。このモデルのAudi e-gasによる走行時の平均燃費は28.57km/kg(3.5kg/100km)以下となり、CO2排出量はNEDC基準計測値で95g/km以下となっています。走行時に排出されるCO2のすべてが、事前のe-gas精製時に使用されていることから、Audi e-gasでの走行時はCO2ニュートラルとなります。e-gas精製工場で使用されるエネルギーに風力発電で得られる電力が使われることを考慮すると Audi A3 Sportback g-tronによる総合的なCO2排出量は20g/km以下となります。この数値はTÜV Nordによって正式に認定されています。
 
Audi e-gasプロジェクトはこれまでの自動車産業の常識を超えることに成功しました。グリーン電力を効率よくメタンガスに転換し、それをドイツ最大の公共エネルギー備蓄システムである天然ガスネットワークに供給することで、従来は非常に難しいと考えられていた大量の電力備蓄が可能であることを示しました。アウディはe-gasプロジェクトの成功によってエネルギー革命の一端を担う存在となりました。今後ドイツ国内で既存エネルギーからガスへの転換を研究し続けていた多くの研究機関は、各々の研究成果を踏まえつつアウディの成功例を参考にすることとなります。
 
Audi e-gasプロジェクトはアウディによる包括的なe-fuel戦略の一部です。アウディはドイツ ヴェルルテのe-gas精製工場の運営と並行して、アメリカ合衆国ニューメキシコ州ホブスにAudi e-ethanol (エタノール)およびAudi e-diesel(ディーゼル)燃料精製に向けた研究施設をJoule社と共同で運営しています。この施設では、微生物の働きを利用して水(海水、汽水、排水)、太陽光、二酸化炭素から純度の高い燃料を生み出す研究を行っています。この施設はCO2を原料にした燃料を生み出すことで環境への負荷を大幅に低減することを目標としています。 e-fuel戦略はアウディが取り組む持続可能性向上を実現するための重要な柱と位置づけられています。

プレスリリース配信

プレスリリースの発行をメールでお知らせします。配信をご希望の方は、下の「プレスリリース登録」をクリックしてメールアドレスをご登録ください。

プレスリリース受信登録

ページ上部へ